傷口を保護し、自傷行為を予防したい。そう思ったスバルさんは使い捨てできる手作りの義手を作ろうと決意。

義手作りの材料
「生まれつきの内臓疾患があるかもしれないので、全身麻酔が必要な切断手術はリスクが高すぎるから避けたかったし、猫らしい行動ができるように、なるべく腕を残したかったんです」
手早く取り付けられ、負荷がかかっても豆蔵くんが傷つかないような形状にすべく、スバルさんは100均の化粧用スポンジを衝撃吸収剤にしたり、詰め替え容器などで前腕部と手先を包み込む部分を作ったりと試行錯誤。痛々しく見えないよう、外側は動物用包帯で包み、床につく部分には汚れにくいシリコン素材を採用しました。
「トイレ時に雑菌が入らないよう、先端は防水性のある素材に。通気性を保つためプラスチック部分には穴をあけました。あとは、接着剤などを口にさせないような固定法も模索しました」

少しずつ義手に慣れていった
義手は豆蔵くんの様子を見ながら、少しずつ改良。無理強いするのではなく、受け入れてくれる物を探しました。
「プラスチックの義手には2日くらいで慣れてくれた。義手でお顔を洗う姿を見た時や猫パンチを繰り出した時は、自分の手として認識してくれていることが嬉しかったです。切断しなくてよかった、猫らしい仕草ができてよかったと思いました」

義手を上手に使っています
生後10か月も経つと、豆蔵くんは義手を外しても手先を過度に気にしなくなったため、寝る時は外し、朝になったら着けるスタイルに変更。

義手は洋服と繋がっている
すると、1歳半になったある日、これまでお利口だった豆蔵くんが突然、義手が繋がっている洋服を破ったため、スバルさんは義手生活を卒業させることにしました。
「左腕や背中に十分な筋肉がつき、義手なしでも日常生活に大きな不自由がなさそうだったので取りました」