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“手作りの義手”で猫らしい生活を。病気で右手の先端を失った豆蔵

好かれなくても元気でいてくれたら、それでいい

 6歳になった豆蔵くんは現在、スバルさんが願ったように猫らしい生活を満喫中。右手の先端がないことを受け入れ、元気にたくましく生きています。
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今では義手なしで生活している

「よくぞ、ここまで大きくなってくれた。まめちゃんはすごいとしみじみ思います。嫌なことを頑張らせて申し訳なかったけど、頑張って大きくなってくれてありがとうと言いたい」  そう感謝するも、豆蔵くんはスバルさんには喉を鳴らしてくれないのだとか。 「まめちゃんにとって、私は嫌なことばかりするヤツなのかも。反対に、抱っこ係だった父にはべったりです。目が合うと喉を鳴らし、外出時にはこの世の終わりを嘆くような声を出します。私への態度との違いにちょっと納得がいきません(笑)」
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スバルさん宅で安心し切っている

 たとえ嫌われたとしても、この子が元気ならそれでいい。スバルさんの優しいボヤキからは、そんな愛情が伝わってくるような気がします。

「私ができる範囲で助けていきたい」

image10 なお、豆蔵ちゃんは福岡県獣医師会の「いのちをつなぐ委員会」が発行している、2021年用のチャリティーカレンダー「365日のふくおかの猫」に掲載予定。この取り組みは、すべての猫に名前とおうちが必要だという考えのもとに立ち上げられたもので、収益の一部は野良猫への不妊去勢手術などに使われます。 「このカレンダーは、日本で初めて災害派遣獣医療チーム(VMAT)を立ち上げられた先生が発案したものです」  VMATは、東日本大震災を機に2013年に発足。熊本地震の時に初出動し、被災して大きなストレスを抱えた動物たちのケアにあたりました。スバルさんやVMATの奮闘を知ると、小さな命を懸命に救おうとしている存在がいることに心打たれ、自分にもできる動物助けを見つけたくなります。 「うちに来てもらうのは、今引き取らなければ死んでしまうだろうという事情のある子だけ。ひとり拾ったって世界中の捨て猫を助けられるわけじゃない。けれど、私ができる範囲で助けたいです」  そう語るスバルさんは「無駄」という言葉で切り捨てず、各々が自分の周りを良くしようと心がけることで、社会全体がより良い方向へ動いていくのではないかと考えています。 image11 見過ごされた小さな命が再び笑顔になるのは、私たちがちょっとだけ勇気を出すことがカギとなるのかもしれません。 <文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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