「なんとなく偶然また会えて嬉しいなと思っていたら、彼がお財布もスマホも忘れたって青い顔になって…PASMOしかないから、現金しか使えないこのお店の支払いが出来ず困っていたんです」
自転車屋さんは「今度持ってきてくれたらいいよ」と言っていましたが、きっとこの後出かけるのに現金が無いと困るんじゃないか?と思った綾香さん。
「『よかったらお金貸しますよ』と言うと、彼は本当にすみませんと何度もお礼を言いながら、私が貸した1万円からパンク修理代を払い、残りのお金をポケットに入れて去っていきました」
するとその晩、その彼(Yさん・32歳・メーカー勤務)から連絡がありました。
「別れ際にYさんから、LINE IDを聞かれたので教えたんです。もしかしたら持ち逃げされるかも?と思っていたので(笑)嬉しかったですね」
数日後、Yさんからランチに誘われ、お金を貸したお礼として美味しいイタリアンをご馳走になったそう。
「お天気の良い日のテラス席で、本当に気持ち良かったんですよ。石窯で焼いたピザが美味しくて『もう1枚おかわりしよう』って言ったらYさん爆笑していましたね」
それがきっかけで心が近づいた2人は、デートを重ねお付き合いをするようになりました。
「どこに出会いが転がっているか分からないものですね。でもYさんから、もうあんな風に簡単にお金を貸しちゃいけないよと注意されました(笑)」
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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