夫が突然クビに、妻は月3万円の内職…ドン底だった夫婦が復活するまで
経済や雇用にも深刻な被害を与えている新型コロナウイルス。解雇や雇い止めにあう人も全国的に増加しています。
結婚当初、6歳年上の夫は、機械部品などを扱う工場の契約社員でした。ところが、2009年の年明け早々に会社側から翌年度の更新を行わないことを一方的に告げられたそうです。
「当時は子供がまだ2歳になったばかりで、私は家で育児に専念していました。だから、彼から雇い止めに遭ったことを聞かされて、これからどうなっちゃうんだろうって不安しかありませんでした」
ちょうど2008年末〜09年正月には、雇い止めに遭った失業者と彼らを支援するNPOの「派遣村」が東京・日比谷公園に出現し、ニュースで何度も報じられていました。なので、覚悟はしていたといいます。
「でも、そのときに備えて準備をしていたわけではありませんでした。彼は『心配しなくていい。すぐに次の仕事を見つけるから』と言って安心させようとしてくれましたが、それが簡単じゃないことくらい私にもわかりました」
ちなみに2009年3月当時の全国の有効求人倍率は0.52倍。職を求めるひと1人に対して、求人が0.52件しかないということです。これは非正規雇用を含んだ数字で、正社員だと0.32倍とさらに狭き門。
いずれも現在=2020年10月の有効求人倍率の半分以下でした。つまり、厳しいと言われる現在よりさらに職がない状況だったのです。
再就職が簡単ではないと覚悟した美和さんは、少しでも家計の支えになればと子育ての合間にできる内職を始めます。
「ポケットティッシュに広告用のチラシを入れたり、シールを張るといったどれも単純な作業です。単価は1つ30~50銭にしかならなくて、パートに出たほうが稼げましたが、子供がまだ幼く、働きに出ることができなかったので。
頑張っても月3万円程度にしかなりませんでしたが、当時の我が家にとってすごく大きな現金収入でした」
「感染も怖いですけど、コロナのせいで夫が失業しないか心配しています。リーマンショックのときに仕事を失っていて、そのときのことを思い出しちゃって」
そう語るのは、結婚15年目の須藤香織さん(仮名・38歳)。2009年に夫が失業してドン底だった日々と、それを夫婦で乗り越えた経験を話してくれました。
子育ての合間の内職で家計を支えた
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