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ジェーン・スー×神田伯山の妻・古舘社長「女のお悩みを分解してみたら…」

真面目な女性たちに“綺麗事”を言いたかった

撮影/山川修一(扶桑社)――『女のお悩み動物園』は、元々雑誌『Oggi』で連載されていたんですよね。 スー: そうなんです。相談者は『Oggi』の読者なので、きっと年収もそこそこあって、恵まれている層の女性だと思うんです。だけど、ちょっと真面目で「恋もおしゃれも仕事も全部頑張らなきゃ」というプレッシャーを強く感じている世代なんじゃないかなって。だから私はこの本を通して、そういう真面目な女性たちに“綺麗事(きれいごと)”が言いたかったんですよね。 ――“綺麗事”、ですか? スー: 今って、経済や社会が不穏だったりして、綺麗事をあんまり言えないムードがあるじゃないですか? 「頑張れば報われるよ」、「可能性の芽を自分で摘まないで」といった綺麗事を言うこと自体がおめでたすぎる、みたいな。ライフハックという言葉が流行りだした頃からそれはすごく感じていて。  今の時代、他人より損をしたくないという思いがすごく強いと思うんです。社会が貧しい状態になってる結果だと思うんですけどね。そんな中で、友達のために時間をさくとか、自分の未来を信じて今あるものを手放すとか…場合によってはリスクととられることを「やってもいいんだ」という綺麗事をちゃんと言いたい。そうしないと、読者の方は真面目なのでどんどん窮屈な箱に自分からはいっていっちゃう。 ――なるほど、たしかに今の社会は閉塞的なところがあって、頑張れば報われる、みたいな思考にはなかなか至らないかもしれません。 スー: よくラジオでは、“ストリートの話”…と言ってるんですけど、ストリートでサバイブするスキルを身につければ、逆に綺麗事を言えるんですよね。  例えば、職場で育休から戻ったばかりでフルタイムで働けない女性がいたとして、その人の仕事をなぜか独身の女性が全部カバーさせられていたとします。正論としては「これは私の仕事ではありません」「なぜこの人の仕事を私がやらなければいけないんですか」と上司に訴えることなんだけど、そのまま伝えても「女同士うまくやってよ」とか言われて自爆することも。  そもそも、上の人の管理能力が低いのを現場がフォローさせられているだけの話なので、それなら育休帰りの女性とタッグを組んで、職場のシステム自体を変える方に動いた方がいい。これがストリートのサバイブスキルですね。
『女のお悩み動物園』著/ジェーン・スー 小学館

『女のお悩み動物園』著/ジェーン・スー 小学館

ヒラリーのバトンを受け取ったカマラ・ハリスに胸アツ

――確かに、仕事をカバーさせられている人が、育休帰りの女性を恨んでも根本的には何も解決しない…。本の中にも「女の敵は女、ではなく戦うべきは悪しきシステム」と書かれていましたね。また、『女のお悩み動物園』を読んでいると、野望を抱いている女性へのエールも感じました。 スー: 社会で働いてる女性たちって、いろんなものさしで測られて勝手に価値を決められて、都合のいい感じの存在にさせられちゃってるんですよね。 『女のお悩み動物園』では、悩みを抱えている人の特徴と傾向を動物になぞらえています。今回書籍化にあたってお悩みを全部読み返してみて改めて、自分の野望に対して“罪悪感を持ってる”女性もいるなって思って。そういう人に対して「いいじゃない、肯定的に行こうよ!」と伝えたくて、連載にはなかった「ユニコーン」という、夢を描く動物の章を書き下ろしました。 古舘:(次期アメリカ副大統領の)カマラ・ハリスさんも、女性が野心的であることはマイナスだと言われる中で、勇気を持って突破していきましたね。その結果、彼女がアメリカで初めての副大統領になりました。
――4年前、ヒラリー・クリントン氏が敗北宣言で、「いつの日か誰かがこのガラスの天井を壊すでしょう。私たちが今考えているよりも、その日が早く訪れることを望んでいます」という言葉を残しました。 スー: それで4年後に、マイノリティで女性というWの属性を持ったカマラ・ハリスさんが、次期副大統領に選ばれたのは胸アツですね。超大国の動きって必ず各国に影響を及ぼすし、彼女のような人がドーンって出てくると説得力がある。いろんな壁を取っ払ってくれるんじゃないかと思って期待しています。
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やりたいならやっちゃったらいいんだよ!
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