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ジェーン・スー×神田伯山の妻・古舘社長「女のお悩みを分解してみたら…」

「オバさん」という言葉を取り戻したい

撮影/山川修一(扶桑社)――また、スーさんは以前から『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)という本を出版されたり、コラムなどで度々「オバさん」について持論を述べられています。 スー:「オバさん」って、中年の女性を親しみやすく呼ぶ言葉だったはずなのに、今では価値がない、みっともない、醜い…とかネガティブな意味が横にくっついてくるじゃないですか。でも、明記されているわけではない不文律なので、「人のことをオバさんなんて呼んで酷い」「いやいや、ただの中年のことを言ってるのに。自分はオバさんじゃないと言いたいんですか?」ってカウンターが来るまでがセットで、卑怯な構造になってますよね。  そういう「言葉の泥棒」っていっぱいある。当事者じゃない人が勝手に決めた定義で右往左往したり、気を使ったりするくらいなら、「オバさん」という言葉を自分たちのところに取り戻したいってのはありますね。 ――オバさんだから、と自虐的に使ってしまうこともあります。 スー: 私も自虐は好きなんですよ、楽しいし。ただ、今って必ずしも自虐が笑いとして歓迎される状態ではないというか…。面白い自虐も存在するので、自虐は全部良くないみたいになっちゃうと、それはそれで息苦しくなっちゃうと思うんですけど。 古舘: 誰かの自虐が周りへの圧になって「いやそんなことないですよ」って言わなきゃいけない気分にさせられるのなら、それは自虐を超えてパワハラや圧の一つにはなっちゃいますよねスー:「オバさんだから全然わからない、教えて!」って面白おかしく潤滑油として使う分には大丈夫だけど、「私オバさんなんで~」って全部人にやらせるのは最悪じゃないですか。使い方にセンスが問われますよね。 古舘: 自分も20代の頃は、40代になるなんて想像もできなかったけど、スーさんのような、少し上の世代の人たちがどんどんオバさんの裾野(すその)を広げていてくれて。  先輩たちの背中を見ていると「年を取るのは怖くない」って思えるし、すごく勇気づけられます。今は60代でもオシャレしてる人はいっぱいいるし、子供を生んでもギャルっぽい格好で歩いてる人もいる。スポーツジムで80代の女性たちがキャッキャやってるのを見ると、変わらないじゃんって思う。若い人たちに「オバさんも楽しいよ」ってことが伝わるといいなと思います

やりたいことがあるならやっちゃったらいいんだよ!

――若い人たちになんとなく蔓延(まんえん)している、年を取ることが怖いという呪いがなくなればいいですよね。では最後に、働き盛りの女子SPA!読者へひと言メッセージをお願いします。 古舘: 私は会社員からドロップアウトしてフリーランスを経て起業したんですけど、会社を作ってすごく可能性が広がったんです。法人にしたら社会的信用度が上がってお金をたくさん借りられたりとか、社会で勝負することができました。  女性って、起業するような教育を受けてきていないし、思いきれない人もいると思うんです。でも、やりたいことがあるならやっちゃったらいいんだよ! とお伝えしたいですね。カマラ・ハリスさんがアメリカの副大統領になったのもそうですけど、女性がいろんな壁を突破してどんどん出世していくといいなと思います。 撮影/山川修一(扶桑社)――では、スーさんもひと言お願いします。 スー:「これをやったらホニャホニャかしら…」と、何事に対しても、つい躊躇してしまうことは誰にでもあると思います。人の目が気になる気持ちもわかるし、誰からも叩かれないという意味では有能なんですけど、そういった思考は「自分を新しいところには連れて行ってくれない」。このことだけは覚えておいた方がいいかもしれません! 撮影/山川修一(扶桑社)【ジェーン・スー】1973年、東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMCを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』『今夜もカネで解決だ』『生きるとか死ぬとか父親とか』『私がオバさんになったよ』、中野信子との共著に『女に生まれてモヤってる!』など。 【古舘理沙】1981年、兵庫県生まれ。冬夏(株)代表取締役社長。国際基督教大学卒業。(株)リクルートにて営業職を半年務め転職。雑誌『VOGUE』『GQ』日本版の編集者を経て、落語に魅せられ2010年に「寄席演芸興行 いたちや」を創業。20年まで興行師として活動し、現在は講談師・神田伯山のマネジメントや、YouTubeチャンネル「神田伯山ティービィー」の制作・プロデュースなどを手がける。同チャンネルは19年度のギャラクシー賞テレビ部門フロンティア賞を受賞 <文/満知缶子 撮影/山川修一> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
満知缶子
ミーハーなライター。主に芸能ネタ、ときどき恋愛エピソードも。
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