――川村さんはエッセイで小・中学校時代のいじめについて書かれていましたが、淡々と対処されていたのが印象的でした。
川村:中学校のときに、私の巾着袋に「バカ、アホ、シネ」と書かれた紙が いっぱい入っていたんです。なんとなく犯人が分かったので、自分でその紙をゴミ箱に捨てたあと、その子に「あなたですよね、謝ってほしいです」と言いました。その子が「ごめん」と言ったので、「いいよ」と言ったら、その子は苦虫を噛み潰したような顔をしてました。向こうはすぐ「いいよ」と言ったことにびっくりしたみたいです。
――なかなかできない、勇気のある行動だと思います。
川村:「親や先生にバレる前に自分で言わなきゃ」と思っていたんです。小学校のときに塾でいじめにあったんですが、保護者達にそれがバレて「やめなさい!」と怒ってくれたことで、余計いじめがひどくなりました。その経験もあって、自分の身に起こったことは自分自身で受け止めて、対処したいと思っていました。
――いじめに潰されなかった理由は、他に何があると思いますか?
川村:絵を描くのが好きだったので、それに没頭することが救いになりました。それに小学校のときからたくさん習い事をさせてもらっていたので、学校以外の世界があることを知っていたことも大きかったです。別のコミュニティがあることは、小さい頃の私にとって心の拠り所になりました。
――30代で付き合った元彼との思い出を書かれていました。この恋愛ではどんな変化があったのでしょうか?
川村:彼と付き合っている間、ケンカをしたことがなかったんです。でも最後に1回だけ私が思っていたことを言ったらケンカになって、それで相手の気持ちが離れてしまいました。私は好きな人には大事なことが言えないので、これからお付き合いするなら何でも言える相手のほうがいいのかなと思いました。
――読者の30代女性に恋愛のアドバイスをするとしたら?
川村:読者の方で30代の女性がいたら「自分がどういうタイプなのかを知るために、どんどん男性に会ったほうがいいよ」と伝えたいです。体を許すのではなくて、食事だけでも行ってください。自分がどういう人といるときに楽しいのか、許せないのか、自分のパズルのピースを集めるために。私は引っ込み思案だったので「もっといろんな人に会っておけばよかった」とすごく後悔してます。「タイプじゃないから会う必要ない」と決めつけないで! 30代でガツガツ恋してほしいなと思います。