
動物番組では葛藤もあったという
――以前から保護犬猫活動などに関心が高かったのでしょうか?
徳井:保護活動のことを「テレビ番組でももっと発信したほうがいいんじゃないかな」と思うことは多かったです。出資のお話しがあった頃に、動物番組をやらせていただいてたんです。テレビで動物を扱うと、どうしても「動物を飼うと楽しいよ!」という取り上げ方になってしまいます。「人気の猫種ランキング紹介」とかやってると「動物はおもちゃじゃないから、そういうのは違うんちゃうかなあ」と思ったりしてました。
だから番組のスタッフさんに「保護犬猫活動のことも発信したらどうですかね」と言って、番組でも保護動物について伝えてくれたりしていたんですけど、バラエティの番組作りとしてそのことばかり取り上げられないので。もっと動物を飼うことの大変さとか、保護動物の状況を伝えないといけない、「自分で何かできることないかな」という葛藤はずっとありました。

提供/徳井さん
――いつ頃から猫が好きになったのでしょうか?
徳井:僕の実家が野良猫を拾っては、常に何匹も飼っている家だったんです。だから猫と一緒に生活するのが当たり前になっていました。
大人になって一人暮らしをしてから初めて猫を飼ったのは25歳くらいのときでした。大阪でやっていたラジオのスポンサーがペットショップで、「年をとった猫をリスナープレゼント!」という、今なら物議を醸しそうな企画があったんです。それで当選した人が「やっぱり飼えない」と猫を返してきたことがあって「それなら俺が飼うわ」と引き取りました。当時たまたま連れられて行ったキャバクラの女の子の名前をとってリンちゃんと名付けました(笑)。そういう経験もあって、ペットショップはあんまり好きになれないですね。

「保護犬猫活動に触れる敷居をどんどん低くしていきたい」と徳井さん
――現在飼っている2匹はペットショップから迎えたとのことですが、どんな出会いだったんですか?
徳井:以前暮らしていたマンションの近くにペットショップがあったんです。M-1に挑戦してたころでバタバタしてたし、ペット禁止やったし、見てしまったら飼いたくなるから見ないようにしていました。
6年くらい前に、そのすぐ近くのペットOKのマンションに引っ越しました。そのころは仕事のペースを自分でコントロールできるようになったので「今やったら猫飼えるなあ」と思って、ふとそのお店に入った瞬間に見たのが今の2匹で、もうドキュンと(笑)。店主をされているお母さんが動物に愛情のあるすごく良い方だったので、このお店だったらいいかなと思って、2匹一緒に譲ってもらいました。
――すごく時間をかけて悩まれたんですね。ただ、ペットショップで“安易に”動物を飼うことの問題点は、最近少しずつ知られるようになってきました。
徳井:多くのペットショップは動物が狭いケージに入れられていたり、年をとると売れなくなったりするシステムなので、僕は切なくなってしまうんです。ペットショップで動物を見て「可愛い~!」という気持ちだけで安易に飼うんじゃなくて、保護団体の審査を受けて、しっかり飼えるのか考えてから飼ってほしいと思います。
――今後、保護猫活動でやっていきたいことはありますか?
徳井:僕ができるのは広報活動なので、シロップが運営している保護犬猫マッチングアプリ「OMUSUBI」を広めていきたいです。コロナがおさまったら、保護犬猫活動のことを楽しくしゃべって知ってもらうためのイベントもやりたいですね。譲渡会(保護動物を希望者に譲渡するための会)に足を運ぶのは、詳しくない人にはハードルが高いと思うんです。僕を通して、保護犬猫活動に触れる敷居をどんどん低くしていければいいなと思ってます。
<取材・文/都田ミツコ 写真/山田耕司>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。