若葉竜也が天才棋士役に「今でも将棋のルールは知りません」
2015年に行われた将棋電王戦第5局にインスパイアされた人間ドラマ、映画『AWAKE』が公開中です。プロへの夢に破れ、AI将棋を知ってプログラム開発にのめり込んでいく主人公を吉沢亮さんが演じる本作で、主人公のかつてのライバルで、電王戦の相手になる若手天才棋士を演じた若葉竜也さんにインタビュー。
大衆演劇出身で、子どものころから芸能の世界に身を置いてきた若葉さんに迫りました。連続テレビ小説『おちょやん』への出演も決定している若葉さんですが、実は「朝ドラは見たことがなかった」とか!
――天才棋士役です。完璧に指し手をマスターされてクランクインされたと聞いていますが、一方で、将棋のルールはほとんど知らなかったと。
若葉竜也さん(以下、若葉)「今でもルールは分からないです」
――いまだに!?
若葉「はい。今回の作品の将棋指導でも入ってくれた元奨励会員の栗尾が僕の幼なじみで、今でも2人で遊ぶ仲なんですが、彼の影響もあって、棋士という役はずっとやりたいと思ってました。ただ、準備期間も限られている中で優先事項をジャッジしなくてはいけなくて、今回は、天才的な棋士という役をやるにあたって、絶対条件としての棋士の所作、指し手を身体に徹底的に落とし込む必要があると思いました。
ルールが分かっていても佇まいが素人くさかったら説得力もないし、映画として終わりなので。だから所作や指し手は練習しましたが、ルールはいまだに知りません」
――終盤には将棋代指しロボットと対局するシーンがあります。
若葉「あのシーンだけで120カットほどあるんですが、デンソーさんから本物の将棋代指しロボット“新電王手さん”をお借りしての撮影で、1日で撮りきらないといけなかったんです。ずっと正座をしてひたすら撮影していったら、足の甲に青タンができました」
――うわ、痛そう。
若葉「僕もそういう体験は初めてでした。でも、“新電王手さん”をあの位置で見られるというのは、俳優界でもたぶん僕だけなので、贅沢な時間をいただけたなと思いました。ただ、将棋盤の上にセンサーがあって、“新電王手さん”が動き出したときにちょっとでもそのセンサーに触れると止まっちゃうんです。すごくシビアで。だからそこに入らないように、ものすごく気を使いました。面倒くさい大御所俳優と芝居しているみたいでしたね(笑)」