――確かに怖いだけの存在ではありませんでした。室井さんも富山の女ですが、地元で作り上げられたものはありますか?
室井「富山というか、田舎で育ったことはとても良かったですね。それから、子ども時代に培ったものといえば、やはり父からの影響です。私は中学のころは軟式テニス部で、高校は陸上部だったから、演劇には関係なかったんです。
小学校の高学年で両親が離婚して、祖母と父と3人で暮らしていましたが、夜は父が仕事でいなかったりして、祖母とふたりで時間を持て余していました。だから、部活が終わってからの時間帯に、お芝居や映画を観に行っていたんです」
――そうした日々が栄養になっていたんですね。
『大コメ騒動』より
室井「そうですね。父も悪いとは言わず、そうしたことに使うお金はお小遣いとしてくれてたんです。
感想ノートがあって、『何月何日にこの映画を観た、この芝居を観た』と半券を貼って感想文を書いて提出すると、その分のお小遣いをくれるんです。本もそうでしたね。『この本を読んで、こう感じました』と領収書を貼って、感想文を書いて父に渡す」
――ええ! めちゃくちゃステキですね。現在の女優業にも文筆業にも確実に繋がってますね。
室井「そういうのがなかったら、女優には目覚めてなかっただろうし、文章についても、昔から国語はすごく好きで作文の賞ももらったりしていて、自然に書いてましたね。むしろそのころ書いていたものと、今と、能力的には変わらないと思う。あはは!」