室井滋が強烈なおばば役に「モデルにした怖〜いおばあちゃんがいます」
1918年に富山の漁村から全国へと発展していった史実「米騒動」を題材に、強い女性“おかか”たちの姿を描いた映画『大コメ騒動』が公開中です。井上真央さん主演の本作で、“おかか”たちのリーダー的存在である“清んさのおばば”を、存在感たっぷりに演じた室井滋さんに単独インタビュー。2回に分けてお届けします。
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舞台である富山出身の室井さんから、本作についてはもとより、地元時代に培った、現在の女優業・文筆業へとつながる、お父さんとのステキなエピソードなどを聞きました。
【後編インタビュー】⇒個性派女優・室井滋、“100歳の愛猫”との暮らしを語る「家族であり、相棒です」
――「米騒動」と言葉では知っていますが、正直、どんなことがあったのか、知りませんでした。室井さんは富山のご出身ですね。
室井滋さん(以下、室井)「地元の人間もそうですよ。それに正直、あまり後世に語り継ぎたい名誉なことだとは思われていなかった。一揆を起こした、しかも女だてらにってね。昔だから。ただ、運動会では“米騒動”という競技はありました」
――地元ならではですね。
室井「俵をふたりで担いで一緒に走って、次の人にバトンタッチするリレーとか、俵を転がして旗のところで周って戻ってくるとか。そういう競技はありましたね。それから地元ならではというと、“米騒動”という名前のお酒もありますね。でも、言葉としては有名だけれど、当時どんなことがあったのかは、地元でも知らなかった。
もちろん詳しく調べている方はいらしたし、ドキュメンタリーなんかもありますが、こんな風にエンターテインメントの映画にして、全国に公開するなんてことはなかったですよね」
――室井さんが演じた“清んさのおばば”は強烈なキャラクターでした。本木(克英)監督も風貌を見て驚かれたとか。
室井「あはは! そうですね。脚本を読んだときに、おばばが登場すると、『うわ!おばばが来た!』とどよめいたり、『ヤバイ、ヤバイ』という怖さがあるような表現があったので、相当みんなから怖がられているリーダーで、迫力がなきゃいけないと思いました。
体も普通サイズの私が、この迫力をどう表現しようかというのは考えましたね。年寄りの役でもあるし。そんなとき、私自身が子どもの頃に出会った魚売りのばあちゃんのことを思い出しまして、あの人がいいと」
――モデルがいらしたんですね。
室井「魚を売ってらっしゃったから、臭いも強烈で。泣き虫の私をいつも叱り飛ばすような怖いばあちゃんでした。見た目も、髪を振り乱して赤胴色に日焼けしてますし、子どもには本当に怖かった。そんな話を監督にしたら、なるほどと。
それから、“清んさのおばば”も浜の行商をしているので、余ったものを“おかか”たちに分けてあげたりするという設定にすれば、ただ怖いだけじゃない、みんなのリーダーとしての説得力も出るだろうと」
地元富山の運動会には「米騒動」という競技が
幼少期に見た魚売りのばあちゃんをモデルにした
室井滋最新刊絵本『会いたくて会いたくて』(小学館)1月29日発売予定