ライターの高木沙織です。かつてグランドスタッフとして6年間勤務してきた私。みなさんが空港で接する航空会社の地上職員です。 　映画やドラマでよく見る“空港でのラブシーン”。異国の地へと旅立つ彼氏とそれを見送る彼女（逆のパターンもアリ）のハグやキス。現実の世界でもあるの？ もしあったらさぞかしステキなんだろうな、なんて妄想を膨らませたこと一度や二度はあるのではないでしょうか。 　私も在職中、そんなシーンに何度も出くわすだろうと思っていたのですがこの目で実際に見たものは……。 　初っ端から夢を壊すようで心苦しいのですが、6年間の在職期間中にステキなラブシーンを目撃したことはただの一度もありませんでした。 　それどころか、どちらかと言うとバタバタもしくはギスギス（言い方が悪くてごめんなさい、でも本当にそんな感じ）しているカップルのほうが圧倒的に多かったように記憶しています。なかなか激しめのケンカに発展してしまっているふたりも少なくなかった！ 　女性が泣いてしまったり、男性が投げやりになってしまっていたり、会話が一切なかったり、チェックインカウンターではいろいろなカップルを見てきました。 　特に多かったのは“時間がない”がゆえのこんなシーン。 彼女「だから言ったじゃん、もっと早く家出なきゃダメだって！ 時間ないよ！」 彼氏「準備に時間がかかったんだから仕方ないだろ。こんなところで文句言うならもう帰れよ」 とか。 彼女「ねぇ、最後なんだから出発前に一緒にご飯食べたりしたかったな」 彼氏「いや、もう搭乗開始時間まで1時間しかないから。ごめん、無理だ」 彼女「あっそう、じゃあもうここでバイバイだね（イラ）」 とか。