Love

空港スタッフがよく見る、別れ際にギスギスするカップルたち。よそでやってくれ〜

カップルを引き離さなくてはならないことも……

 なかにはチェックインカウンターにやってきた時間が手続きを締め切る直前で、保安検査場から出国審査場を通過し、ゲートにたどり着くまでグランドスタッフがフルケアしなくてはならないケースもあったりしてふたりは別れの言葉すらまともに交わせない……、なんてことも珍しくありませんでした。 カップルを引き離さなくてはならないことも…… 保安検査場の前で……。 彼氏「着いたら連絡するから」 彼女「絶対連絡してね、待ってるから」 私「お客様、お急ぎください!」 彼氏「電話するから」 彼女「何時でも出るから」 私「出発時刻が迫っております、お急ぎください!!」  みたいな。いやこれ、定刻運航のための決まりとはいえ胸が痛い……。  え? 本当ですよ、ラブラブカップルに意地悪をしようだなんて思っていませんよ。ふたりだけでゆっくりと別れの会話やハグなんかをしてもらいたい。それを「お急ぎください」「早く」、って。出来ることなら避けたい役回りですよね。  口調は柔らかいけれども“マジで急いで感”を隠し切れない殺気立った私に引き離されるのですから。それはまるで鬼のように思えたのではないでしょうか。ふたりの悲しそうな表情が目に焼き付いて新人の頃はよくやり切れない気持ちになっていたものです。無事に連絡を取りあえていたらいいな、と思ったりもしていました。

カップルのケアより飛行機の出発時間のほうが大事

カップルのケアより飛行機の出発時間のほうが大事 こんなとき映画だったら粋なスタッフが飛行機の出発を遅らせてでもふたりの別れのシーンを優先させたりするのかもしれませんが、実際にそんなことをしたら大目玉を食らうどころでは済まない大問題・大事件。想像しただけでも震えちゃう。分かってください、私たちも必死なのです。  離れ離れになってしまうふたりにとってさまざまな感情が入り混じり、ナーバスになったりもしてしまうのが空港での別れのシーン。それに、海外へ旅立つ前ってどういうわけか予期せぬトラブルが起こったりもするんですよね。映画やドラマのようにはいかない、それが現実だと20代前半にして悟ったのでした。  でも、でも、もしかしたら私たちグランドスタッフが見ていないところで愛を確かめ合っていたのかもしれないし、そうであって欲しい! 屋上の展望デッキで飛行機を眺めながら会話とかステキじゃないですか、ね。
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唯一目撃したラブシーンは……
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