「最高の愛情と親密性の表現が性交とは限りません。
視線を交わす、言葉を交わす、やさしくふれあう、なでる、さする、手をつなぐ、寄り添う、ハグやキスも立派な性的ふれあい・セクシュアルプレジャーです。2人の親密さを示す性的ふれあいにおいて、インサートは最高でも唯一のものでもないのです。インサートばかりにこだわるのは、むしろ性の貧しさではないでしょうか。
いずれにせよ相手が、そしてお互いが、イヤイヤではなく笑顔でいられる関係のもとでこそ、男女(両者)ともに『自分は愛されている、受け入れられている』という承認欲求が充たされるものです」

「性的なふれあいの際にも、『ありがとう』という言葉は効果的です。『親しき仲にも礼儀あり』は事実で、お互いに『してもらって当たり前』という態度になると、相手は気持ちが萎えてしまいます。感謝の気持ちを忘れずにいると互いに『また次も期待に応えよう』という気持ちになるものです。
セクシュアル面のみならず、『ありがとう』は、関係を円滑にする大切な言葉です」
村瀬先生はさらに、「男性は一般的に“察する”のが苦手と言われているので、『できない、したくない』と率直に伝えることはとても大事。さらにそれを受け入れてくれたら『ありがとう』など感謝の言葉を添えると、男性は『自分のしたことが喜ばれた。それならまた期待にこたえよう』と、自己肯定感が高まり人としての自信にもつながります。これは男女逆の場合も同じですけどね」と言います。
今さら気持ちを言葉にするのは恥ずかしいという夫婦やカップルもいるかもしれませんが、村瀬先生によれば、思いを言葉にすることが性を含む関係改善の鍵。一度伝えてみるとその後は滑らかに口から出てくるようになると筆者も実感しているので、今日からでも実践してみては。
―大人が学びなおす“性”のこと―
<村瀬幸浩 取材・文/内埜さくら、女子SPA!編集部>