Fashion

記憶と結びつく香り。はやりの香水も考えものと思った理由

ステイホームでの日常、香水一吹きで気分転換

 それ以来、私はもう日本では廃盤になった香水を使うか、そうでないものの場合は家にいるときにこっそりと使うか、そのどちらかでやり過ごしてきました。  それで足りていたのですが、足りないと思ったのが去年の緊急事態宣言が出たとき。  外出を極限まで減らし、毎日、家の中で代わり映えしない日々を過ごしていると、気分転換に香りがとても役に立つということに気づきました。フラットな日常が、香水を一吹きするだけで、特殊フィルターをかけたかのような、鮮明な色合いに変化します。  もうちょっと違う香りで、今の日常生活に合ったものが欲しいな、そのとき私は思いました。というのも私が最近、気に入って使っていた香水はたいそうロマンチックな香りで、近所のコンビニへ買い物に行くときには、不似合いなことはなはだしかったからです。
AdobeStock_171137306

香水を一吹きするだけで、フラットな日常が鮮明な色合いに変化する
(※画像はイメージです)

小さな会社が小ロットで作っているニッチフレグランス

 今は不必要な外出もできないし、どうしようかと思ったとき、ネットで検索してみると、ニッチフレグランスを扱うショップが数種類の香りのムエット(試香紙)を送ってくれるサービスをしている、ということがわかりました。
NOSE SHOP

ニッチフレグランスを扱うショップ「NOSE SHOP」の通販サイト

 ニッチフレグランスとは、大手化粧品メーカーの大量生産品よりもずっと小さな規模の会社が、小ロットで作っている香水のことです。現在、たくさんのブランドがあり、ニッチフレグランス沼の住民でもない限り、すべてを知り尽くすのは困難でしょう。  そのときから、ニッチフレグランスのムエットを片っ端から送ってもらう日々が始まりました。  けれども、中にはセクシーすぎたり、変な香りのものもあったりと、なかなか思うようなものが見つかりません。想像以上に沼は深く、このままではお目当てのものにたどりつかない、そう気づいたときに、そうだ、日本に関連するエリアを探索しようということで、出合ったのがçanoma(サノマ)の香水です。
次のページ 
日本の感性とフランスの調香の技術の掛け合わせ
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ