çanoma(サノマ)は去年ローンチしたブランドで、4本の香水はブランドのファウンダーの渡辺裕太さんが大学院卒業後、金融関係の仕事をした後、香水業界で働く夢を実現するために渡仏し、「日本の感性と、フランスの調香の技術を掛け合わせて、日本人でも日常使いできる香水を作るため」クラウドファンディングしてできたもの。
香りのディレクションをするのは渡辺さんで、実際のプロダクトを作るために調香するのがフランス人調香師のジャン=ミシェル・デュリエ氏です。

渡辺裕太さん(左)とジャン=ミシェル・デュリエ氏(右)を紹介するページ
(※画像:NOSE SHOPのサイトより)
4本の中で私が気に入ったのが「4-10 乙女」。
説明を読むと、ラベルにあるマークは源氏香の「乙女」の図であるとのこと。「乙女」といえば、夕霧と雲居の雁の恋と、その別れの物語が描かれている帖です。A・ウェイリー版の源氏物語をちょうど読んでいる最中だったので、この趣向も気に入りました。

çanoma(サノマ)「4-10 乙女」(オードトワレ)
30ML 8,250円(税込)
単調な1日を、起承転結のある物語に変えてくれる香り
そうして今、この香水を毎日つけていますが、これならば近所のコンビニでも、不似合いなんてことはありません。小田急線の混雑した車内でもきっと平気でしょう。そして私がよく行く江の島の海辺のカフェにも似合いそう。
鮮烈な出会いのようなトップノートから、懐かしく切ない思い出のようなラストノートまでが、何も起こらない単調な1日を、起承転結のある物語に変えてくれる、これはそんな香りです。

何よりも、これなら街で誰かとすれ違っても、誰かに同じ香水の誰かを思い起こさせてしまう可能性は低いでしょう。だって、みんながこの香水を使っているなんてことは、たぶんないから。
ところで、ジャン=ミシェル・デュリエ氏は著名な調香師で、過去にはドルチェ&ガッバーナの香りも作っているとのこと。このお二人による次の新作も、今からとても気になっています!

çanoma(サノマ) 4-10 乙女(オードトワレ) 30ML 8,250円(税込) 100ML 19,250円(税込)
<文/小林直子>
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