看護師A子さんと結婚したいから、離婚を急いだのか?
2008年、小室氏は楽曲著作権を譲渡すると偽って5億円を搾取、仲間ふたりとともに詐欺容疑で逮捕された。起訴された当日、保釈が認められたが、保釈金3000万円はレコード会社とKEIKOさんが払ったという。翌年、懲役3年執行猶予5年が言い渡された。
それから2年後の2011年、KEIKOさんはくも膜下出血で倒れる。一命はとりとめたものの長期にわたる療養生活に入った。

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2018年、小室氏の不倫疑惑が報じられ、記者会見を開いた彼は,その場で引退を表明、さらにKEIKOさんには高次脳機能障害が残り、見かけは大人の女性だが中身は子どもと同じ、だから大人の女性である看護師と話をするのが癒やしだったと弁明した。
ところがその後、小室氏がほとんど妻の介護をしていないこと、実家に戻って静養している妻に生活費も渡していないことなどをKEIKOさん側の親族が曝露。
昨年春に小室氏から離婚調停を申し立ててから1年弱。夫婦は一度も顔を合わせることなく、今年2月26日に離婚が成立したという。
なぜ小室氏は、自ら離婚調停を申し立てたのだろう。こうなると、3年前、不倫疑惑が生じられた看護師A子さんとの関係が続いているのではないかと臆測も出てくる。早く結婚したいから、離婚を急いだのではないか。
孤独なカリスマには、常に新鮮なミューズが必要なのか
彼は音楽の分野では、時代が求めているものを察知する能力も含めて、天才なのだろう。そして、音楽という魅力的な魔物に魅入られたからこそ、常に孤独であり、近くに女神を置いておかないと不安だったのではないだろうか。
彼の相手は身近にいた年下の女性。過去の恋愛と結婚はみなそうだった。若い女性なら自分が王様でいられる、崇拝してもらえる。それが孤独を埋め、音楽と対峙できる自分でいられる。そして女神に徹底的に癒やしてもらい、相手の愛の泉が涸れそうになると自ら別れを告げる。華原朋美と結婚しなかったのは、小室氏を徹底的に癒やしてくれる相手ではなかったからだろう。

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小室氏が意図的に女性に癒やしを強要していたわけではないかもしれないが、結果的に相手の人生を変えてしまう。あるいは女性たちが,カリスマ性のある小室氏の孤独に気づき、深く受け止め、その人生に自ら巻き込まれにいく。彼の女性との関係はそういう傾向があったのではないだろうか。
天才芸術家に、世間一般の常識が通用しないのは古今東西、変わらない。金や人間関係でトラブルを抱え、周囲を振り回しながら、それでもいい作品を作ることに没頭してきたのが芸術家の歴史だ。
彼は間違いなく、90年代、時代の寵児だった。バブル崩壊後の一時代と寝た男と言ってもいい。
3度目の離婚を経て、彼はこれからどうしていくのだろう。若き日のような研ぎ澄まされた感覚は変化しているとわかっているはず。その変化を彼自身がどう受け止め、どう世間に発信していくのだろうか。そこに、いい意味で変質した彼の「音楽への愛」を、聴取者は聞き取ることができるのだろうか。
2019年、彼は「復帰した」とは言わず、名前も出さないままに企業向けの空間音楽を提供するようになった。昨年には乃木坂46への楽曲提供、さらにTM NETWORKとしてラジオ出演やステージなど活動を再開させている。
求められたときだけ求められている楽曲を作っていくのか、あるいは自分と聴衆が満足できる音楽を追求していくのか。もちろん、彼がどういう道を選ぼうと第三者がとやかくは言えないが、せっかくの天賦の才を、彼はまだすべて使い切っていないのではないだろうか。
<文/亀山早苗>
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