Gourmet

洋食屋なのに「メキシカンライス」? 謎メニューが魅力の老舗レストラン

 街角にひっそりと佇む昔ながらの洋食店。どんな街にも当たり前のようにある光景が、今、少しずつ姿を消しつつある。そんな町洋食の語り尽くせない本当のスゴさに迫る――。

名店の流れを汲む町に根づき愛されるユルさが魅力の店

町洋食

レストラン「ユニオン」主人の藤井博さん

 今から60年前、北海道の愛別町から一人の青年が上京した。その青年とは今年で創業53年となる神奈川県川崎市溝口のレストラン「ユニオン」主人の藤井博さん。高校卒業後、定職に就かずにいた藤井青年は、ある日一念発起、旅館業を営む親戚を頼って神奈川県鎌倉市にたどり着いた。  しかし、仕事は犬の世話などの雑用ばかり。悶々とする日々のなか偶然、横浜調理師学校夜間部第1期生募集のチラシを目にし、料理人への道を歩み始めた。  調理師学校に通う傍ら働き始めたのは、今も続く名店「センターグリル」である。そして、卒業後は東急ホテルに就職。その後、鉄道弘済会の食堂部に移り、店の売り上げを倍増させる活躍を見せる。  料理人として、商売人として、頭角を現した藤井さんは、組織の中でのし上がっていくか、自分の店を持つかという人生の岐路に立ち、意を決して後者を選ぶ。そうして1967年、ユニオンは生まれた。

オープン初日の客入りは散々だったが…

町洋食

店内写真。ファミリー層まで幅広い人が使いやすいようにと座敷も

 最初は12席のカウンターのみの小さい店だった。都内と迷って出店を決めた溝口は、当時ただの田園地帯。しかし将来は必ず発展する町だという確信もあった。オープンから3日間はカレーライス、ミートソーススパゲッティ、イタリアンスパゲッティの3種のメニューに絞って定価80円のところを50円の「開店セール」を行う。  ところが初日の客入りは散々。目の前が真っ暗になった。溝口が発展するのはまだ先。こんな田舎では馴染みのない「洋食屋」に誰も寄りつかないのでは? しかし、それは杞憂に終わった。2日目、3日目と店は列をなす大賑わい。 「近隣の若い人たちが口コミだけで一斉に殺到したんですよ」  藤井さんは昨日のことのように嬉しそうに語る。たった12席では売り上げにも限界があったが、軽自動車いっぱいに料理を積んで近くの会社に出前をするなど、なんとか稼ぎを得た。 「わざわざ北海道から出てきてオメオメとは帰れないし、家族も養わなければいけないしで、必死に働きました」と藤井さんはしみじみと語る。
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若い人たちに安い料金でお腹いっぱいになってもらいたい
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ユニオン
神奈川県川崎市高津区坂戸1-5-20
11時~14時30分、17時~21時30分 日曜定休
ボリュームのあるメニューも多く、食事の満足感は高い。飲みの場として利用するお客さんも多く、つまみも充実
(コロナの影響により営業時間はお店にご確認ください)

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