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洋食屋なのに「メキシカンライス」? 謎メニューが魅力の老舗レストラン

若い人たちに安い料金でお腹いっぱいになってもらいたい

町洋食

ケチャップ味ナポリタン発祥の店「センターグリル」の流れを汲む由緒正しきナポリタン。実は最近までは「イタリアン」と呼ばれていた

 創業当時のメニューは開店セールの3品のほかにはハンバーグライス、カツカレー、オムライス、サンドイッチなど。まさにセンターグリル直系の庶民派メニューだ。若い人たちに安い料金でお腹いっぱいになってもらいたい、というそのイズムごと引き継いだ。  だから今「ユニオンスタイルオムライス」として提供されるオムライスは、ケチャップライスではなく白いライスにひき肉と玉ねぎ入りのオムレツをのせたセンターグリルと同じスタイルのものなのだ。  ユニオンは、ケチャップで炒められたスパゲッティを「イタリアン」と呼んでいたのだが、店内に貼り出されたメニューでは現代風に「ナポリタン」となっており、グルメ番組でも「ナポリタン」と紹介されるなど表記揺れも甚だしい。 「それもどうかと思ったから」と昨年、藤井さんは強引な解決策をとった。ある日突然メニューに書かれた「イタリアン」をケチャップの入らない塩味の白いスパゲッティにしたのである。柔軟すぎるというか、ユルい。

メニューに載る「メキシカンライス」とは?

町洋食

ピラフとポークソテーを組み合わせたいかにもいわくありげな料理。気になる名前の由来は、意外なものだった。このボリュームで880円

 ユルいと言えばメニューに載る「メキシカンライス」だ。私は古くからの洋食店を訪れると必ずメニュー表から「何かわからない、聞いたこともない料理」を注文することにしている。「謎洋食」と私が勝手につけたその種の料理は、大抵の場合「何かがある」のだ。  今では廃れてしまったが、その店が戦後の黄金期から手がけていたフランス料理由来の由緒ある料理。今ではそんな訳のわからない料理を頼むお客さんなどほとんどいないのに、お店が格別な思い入れやこだわりで出し続けているみたいな。  私が初めて「ユニオン」を訪れたときに真っ先に注文したのがこの「メキシカンライス」。それはカニピラフにポークソテーがのり、上からマッシュルーム入りのデミグラスソースがかかった、なかなか胸躍る料理だった。無論おいしい。しかし「メキシコ」との関連もそのルーツもさっぱりわからない。数年を経て私はようやく藤井さんにその料理の由来を直接尋ねる好機を得た。
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由来はまさかの…
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ユニオン
神奈川県川崎市高津区坂戸1-5-20
11時~14時30分、17時~21時30分 日曜定休
ボリュームのあるメニューも多く、食事の満足感は高い。飲みの場として利用するお客さんも多く、つまみも充実
(コロナの影響により営業時間はお店にご確認ください)

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