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SMAPとファンモンの大ヒット曲を作った、達人女性を知っているか

 3月11日放送の『音楽の日』(TBS)に、FUNKY MONKEY BABYSが出演。一夜限りの再結成を果たし、大ヒット曲「あとひとつ」を披露しました。楽天の田中将大投手(32)が2013年に日本一を達成したときのテーマ曲としても知られ、東北復興のシンボル的な一曲としても定着しています。
『あとひとつ』(初回生産限定盤、ドリーミュージック)

『あとひとつ』(初回生産限定盤、ドリーミュージック)

 続けて、スガシカオ(54)がSMAPの「夜空ノムコウ」を演奏。震災から10年の節目を迎え、なお復興の道半ばの被災者にエールを送る選曲が印象に残りました。

知る人ぞ知るヒットメーカー、川村結花

 いまや国民的な応援歌と言ってもいいほど、誰もが一度は耳にしたことがあるこの2曲ですが、実はどちらも同じソングライターが関わっているのです。その人は、川村結花(54)。「あとひとつ」では詞と曲をファンモンと共作し、「夜空ノムコウ」では、作曲を担当。作詞のスガシカオとのコラボは、日本ポップス史において燦然と輝いています。  大阪府出身で、東京藝大音楽学部作曲学科を卒業後、プロの作曲家として活動を開始した川村結花。1995年にアルバム『ちょっと計算して泣いた』でメジャーデビューを果たすと、SMAPが歌った1998年の「夜空ノムコウ」で一躍脚光を浴びました。そして、2010年にはファンモンの「あとひとつ」で第52回日本レコード大賞作曲賞を受賞。他にも、鈴木雅之(64)、藤井フミヤ(58)、松たか子(43)、坂本冬美(53)など、幅広い歌手に100曲以上の楽曲提供をしています。

「夜空ノムコウ」が頭を離れない

 かくいう筆者も、川村結花との出会いは「夜空ノムコウ」でした。当時高校3年生。センター試験の帰り道、取り立てて達成感も絶望感もない中、<あれからぼくたちは何かを信じてこれたかなぁ>のフレーズが頭から離れなくなってしまった経験があります。それほどまでに、日々の暮らしに深く食い込む力を持つ一曲だったのですね。その力の源となっているのが、奇をてらわない誠実さなのではないでしょうか。  たとえば、<あれからぼくたちは何かを信じてこれたかなぁ>の部分。メロディの頂上まで到達した後は、たどってきた道を丁寧に降りていく。そうした歩みの確かさが、言葉の外皮を保護する役割を果たしている。知識や技術があるからといって、音楽の身勝手さで歌詞をぞんざいに扱わない。それが、「夜空ノムコウ」の気高さなのだと思います。
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「あとひとつ」のていねいな型
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