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母と娘の発達障害を公表する家族YouTuberパパ・ママの思い「障害は恥じゃない」

 登録者数14.7万人(7月時点)のファミリー系YouTubeチャンネル「あっちゃんファミリー」。10歳のあっちゃん、7歳のすっちゃんの姉妹を中心に、パパとママの4人家族のほんわかとした雰囲気が人気です。
あっちゃんファミリー

左から、ママ、あっちゃん、すっちゃん、パパ

 このチャンネルでは、あっちゃんとママがADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)を持つ発達障害であることが公表されています。  昨今、発達障害に対する世間の関心が大きくが高まりつつあるなかで、あっちゃんファミリーのパパとママに、あっちゃんが診断を受けるまでの経緯や、子どもの発達障害に悩む親御さんへのアドバイスなどを聞いてみました。

発達障害は恥ずかしいことじゃない

――「あっちゃんファミリー」を始めるきっかけは何だったのでしょうか? パパ:あっちゃんとすっちゃんがキッズYouTuberに憧れていて「YouTubeをやりたい」と言っていたんです。でも当時はどんな動画を作ればいいのか分からなかったので、まずは愛猫を主役にした「ふわふわこっちゃんねる」を始めました。半年くらいして動画の作り方が分かってきたので、当初作りたかった家族チャンネルに挑戦することにしました。 ――YouTubeでお子さんの顔を出すことについてはどう考えていますか? パパ:“バイトテロ”といって、少し前に高校生や大学生くらいの子たちが非常識な動画を出して問題になったことがありましたよね。それを見て、「高校生くらいだと、親の目が届かなくてやってしまうのかな」と思ったんです。それなら、親の目の届くうちに一緒にYouTubeを始めて、ネットリテラシーの教育も含めて責任を持ってやろうと思いました。 ――子どものうちに親と一緒にネットリテラシーを学ぶのは大切ですね。動画であっちゃんがADHD、ASDであることを公表したのはなぜなのでしょうか? ママ:発達障害をメインテーマにしようというのではなく、家族チャンネル内のテーマの一つとして見てもらって、そこから私たち自身を好きになってもらえたらいいなと思っていました。そもそも発達障害は、その人自身が何か劣っているわけではなく、あくまでも“今の社会”のシステムと本人の持つ特性との間に障害があるということ。自分の特性をいかせる環境を見付けることが出来れば障害ではなくなるし、むしろ大きな武器になることもあると思うんです。だから別に隠したり、恥ずかしいと思う必要はないと思っています。 ――動画にはどんな反響がありますか? パパ:いくつかある動画の中でADHDの動画の再生回数が多かったので「情報を求めている方が多いんだな」と思いました。「自分も当てはまる」という声が多かったです。 ママ:動画を見て「知人にも同じような特性を持っている人がいる」という方も多くて、「自分はその人に冷たくしてしまっていたけど、考え直すきっかけになりました」という感想もありました。「当事者としてすごく悩んでいたけど、前向きに考えるきっかけになりました」という方もいて、温かい反応が多かったですね。

小3のころ「忘れ物が多い」「ぼーっとしている」と指摘

ランドセル

ランドセルの中身を紹介する動画撮影のようす

――あっちゃんが発達障害の診断を受けるまでには、経緯があったのでしょうか? ママ:最初に指摘されたのは、3歳で幼稚園のプレクラスに入ったときでした。園でまったく話さず、活動に参加しなかったそうで、園長先生に「発達に遅れがあります、この子おかしいですよ」とはっきり言われました。まだ園との信頼関係ができていなかったこともあり、すごくショックを受けました。家では喋ったり踊ったりと普通に過ごしていたし、どちらかというと周りの子に比べて言葉の発達が早かったので、遅れがあると思ったことがなかったんです。園長先生に私がそう言っても、全然聞き入れてもらえませんでした。 ――親としては非常にショックですね。 ママ:今思えば、ASDは変化を嫌う特性があるので、新しい場所に馴染むのに時間がかかっていたのかなと思います。園長先生を含め、他にも合わないと感じることが多かったので退園をしました。翌年の4月に年少さんから別の幼稚園に入ったのですが、そこでは問題があると言われることはなく、楽しく通えたのでよかったです。そのあと小学校に入学して3年生になったころに「忘れ物が多い」「授業中ぼーっとしている」と先生からお話しがありました。 ――1、2年生とは何が違ったのでしょうか? ママ:3年生になると科目が増えるので、持ち物が多くなって忘れ物をしたり、何をする時間なのか分からなくなって、授業中にぼんやりすることが多くなってしまいました。担任の先生は「夜更かしをしてるんじゃないか」と思っていたようです。「家で何時に寝かせていますか」「家庭でどういった指導をしていますか」と聞かれました。家に来て、生活環境をチェックされたこともあって……。結局、家庭の問題ではないと分かってくださいました。 ――それがきっかけで、診断を受けようと考えられたのでしょうか? ママ:先生のお話しを聞いて「発達障害だろうな」と思ったんです。実は甥っ子がすでにADHDの診断を受けていたので、その可能性が頭の片隅にありました。それもあって診断を受けることにしました。
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娘の診断をきっかけに、自分のADHDにも気づいた
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