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母と娘の発達障害を公表する家族YouTuberパパ・ママの思い「障害は恥じゃない」

娘の診断をきっかけに、自分のADHDにも気づいた

――診断を受けることに不安はありませんでしたか? ママ:「絶対に診断はあったほうがいい」と思っていました。甥っ子は、診断前は「きかん坊」だと思われていて、親も「どういうしつけをしているんだ」と周りに責められていたんです。それが診断がついたことで説明しやすくなり、療育を受けたり、保育園や小学校で配慮してもらえるようになりました。診断によって、どうサポートすればいいか分かりやすくなると思ったんです。  診断の結果、あっちゃんはADHDとASDでした。発達障害の本を読むと、ADHDの「不注意型」のチェックリストに私とあっちゃんがすべて当てはまっていて、私自身がADHDだと気づくきっかけにもなりました。 ――「不注意型」とはどんな特性があるのでしょうか? ママ:とにかくうっかりしています。忘れ物や落し物が多くて、時間の管理が苦手です。逆に好きなことに対してはすごく集中力があります。私の場合は提出物や事務関係の仕事が大嫌いで、YouTubeの編集作業は何時間でもやっていられます。 ――パパさんは、診断をどう受け止めたのでしょうか? パパ:あっちゃんだけではなく妻もADHDでしたが、私は妻と暮らしていてなんの問題も感じたことがなかったんです。だからとくに悲観することはなく「ママと一緒なら大丈夫なんじゃないかな」と思いました。 ――あっちゃん自身は、発達障害をどう受け止めていますか? パパ:診断が出るまでに時間がかかったので、確信した時点で本人に伝えたのですが、人気YouTuberには発達障害を公表している人が多いということもあって、あっちゃん自身は前向きに捉えています。

困りごとは「仕組み作り」で解決

あっちゃんすっちゃん――診断を受けて、どんなサポートをするようになったのでしょうか? ママ:私なりに「ADHDの対応表」をまとめた資料を先生にお渡しして、それに基づいて指導していただいています。例えば「耳からの指導はわかりにくいので絵で説明する」などです。聴覚過敏があって、たくさんの声がする教室が苦手なのでイヤーマフを持ち込むことを許可していただきました。ホコリに敏感なので、本来はローテーションの掃除場所を屋外に固定してもらっています。音やホコリなど「感覚過敏」があることはASDの診断を受けて始めてわかりました。  あと、落し物が多いのでクラスに「あっちゃんボックス」を設置していただいて、あっちゃんの落し物を入れてもらうようにしています。本人の机に戻してもらっても、気がつかずにまたポイと落としてしまうんです。だから「物が無くなっていたら落し物ボックスに入っているよ」と説明して確認するように言っています。 ――先生だけではなく、クラスメイトも理解してくれているんですね。 ママ:今はあっちゃん以外にもそういう子が多いので、クラスの子はすんなり受け入れてくれているようです。 ――お家ではどんなサポートをしているのでしょうか? パパ:忘れ物が多いので、朝送り出す前に必ず持ち物をすべてチェックします。教科書を学校に忘れてくると宿題ができなかったりするので、教科書は全部スキャンしてタブレットに入れています。もし今後、教材のタブレット化が進めばこの手間もなくなりますね。今までの常識にとらわれて悲観するのではなく「何か工夫できることはないか」と考えるようにしています。 ――あっちゃんが失敗したときは、どう対応しているのでしょうか? ママ:私自身の経験で、苦手なことはいくら気をつけていても絶対うまくできないと分かっているので、叱るよりも「あっちゃんボックス」のように“仕組み”を作って解決するようにしています。 パパ:発達障害だからというより、子育てをする上で人格否定をしないよう気をつけています。あっちゃんは好きなことに対する集中力が高くて、びっくりするくらい絵が上手だったりするんです。苦手なことを叱るよりも、得意なことを伸ばしてあげたいと思っています。
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悩むより、未来のために時間を使ってほしい
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