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「夫婦別姓は子供がかわいそう」の根拠は何?別姓にしてよかったママの胸中

岡山県の「選択的夫婦別姓制度の反対」に思うこと

 ちなみに、現在首都圏に暮らしている水松さんは、岡山県出身。  3月、岡山県議会では選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書が自民党などの賛成多数で可決されたことについて「失望した」と語ります。 夫婦「ゆくゆくは岡山県でやりたいことがあったのですが、もしかしたら自分たちのような家族は異質な存在になってしまうのかもしれない、という不安が生じました。  なんだか故郷に拒否されたような複雑な気持ちです。私の姓って、岡山発祥の希少な苗字なんですけどね……。  選択的夫婦別姓については、『慎重に、時間をかけて』という言葉が聞かれますが、何十年も議論していて、あとどれだけ慎重になったらいいのでしょう。伝統が大切? この議論をしている数十年の間に、世の中は大きく変わりましたよね。たとえばスマホもパソコンもこれだけ社会に浸透しましたが、“伝統”を理由に反対している人はいますか? 私はまだ、会ったことがありません」

「日本ではまだ夫婦別姓を選べない」ことを知らない人も

 水松さんは、周囲の未婚の人たちに事実婚の理由を話すと「えっ、日本ってまだ夫婦別姓選べなかったの?」というリアクションもあるそうです。  ちなみに、法務省が平成8年から継続的に行っている調査によれば、「夫婦は必ず、同じ名字(姓)を名乗るべきであり、法律を改める必要はない」の回答割合は平成8年の39.8%から平成29年では29.3%に減少し、「法律を改めてもかまわない」は同期間で32.5%から42.5%に増加しています。
選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)

出典:法務省 選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)

 識者の中には、「夫婦同姓は、明治以降のことであり、決して古くからの伝統ではない」という見解を示す人もいます。  何十年もの間「慎重に」議論を重ねた今、選択的夫婦別姓制度が「時期尚早」という理由で再び先送りされることがないよう、注視していく必要がありそうです。 【参考】 『現代のエスプリ 夫婦別姓時代を生きる』(1989年・至文堂) 法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較) <取材・文/北川和子> 【他のエピソードを読む】⇒「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ
北川和子
ライター/コラムニスト。商社の営業職、専業主婦を経てライターに。男女の働き方、家族問題、地域社会などをテーマに執筆活動を行う。
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