このように、私は婚活で上手く同時進行ができない女だったのですが、好きになると一途で、その人しか見えなくなるタイプです。だから一度好きになってしまえば「他にもっといい人がいるかも」と思うことなく、迷いなくつき進むことができます。

ただ、婚活ですぐに人を好きになれるケースはレアで、初対面ではすごくタイプというわけではないけど、生理的に無理でもない人ばかりでした。可もなく不可もなしなので、何度か会えば好意が芽生えるかもしれない。そんな淡い期待を抱きつつ、複数人と同時に連絡を取り合っていましたが、
もともとマメでないうえにスケジュール管理が苦手なので、どんどんストレスに感じてしまい、すべてを投げ出したくなってしまう。最後に気になる相手が一人残るのではなく、結果的に全員と終了してしまいました。そして、持ち駒がゼロになると疲れて婚活を休み、しばらくすると焦って再開する。ずっとこの繰り返しでした。
私は最終的に長年の友達だった夫と結婚したわけですが、夫から告白された際に「婚活をやめてほしい」と言われました。そこで、すっぱり婚活を止めて、夫一人と向き合った結果、夫のことを好きになり結婚することができました。
Rikakoさんのように、発達障がいや発達障がいグレーゾーンの人は婚活で苦労をすることも多いのでしょうか。精神科専門医・児童精神科医で虹の森クリニック院長の坂野真理先生に、見解を聞きました(以下、坂野先生のコメント)。

虹の森クリニック院長の坂野真理先生
「同時進行ができない」、つまり「マルチタスクが苦手」というのは、ADHDでもASD(自閉スペクトラム症)でも可能性のある症状です。一つのことに取り組んでいても別のことに気がそれてしまい、これを繰り返している間に結局どれもやり遂げることができなくなってしまうのはADHDタイプの方に多く、複数の事柄の中で一つがとても気になってしまい、他のことに注意が向かないのはASDタイプの方に多いですね。ASDとADHDが両方ある方もいることでしょう。
婚活では、同時に複数の人との交際を進めていくのは、ASDやADHDタイプの方には向かないかもしれません。Rikakoさんのように一人の人に集中することで、関係が作りやすくなるかもしれませんね。
発達障がいの方にとって、結婚は決してゴールではなく、
結婚後どのようにパートナーとうまく生活していくのかも重要な視点です。発達障がいがある人もない人もどちらかが良くてどちらかが悪いというわけではありません。発達障がいかもしれないと思いながら婚活している方も、発達特性も踏まえて一緒に暮らしていく方法を話し合いながら、寄り添える相手が見つかるとよいですね。
【坂野 真理(さかのまり)】
日本医科大学医学部卒。英国キングスカレッジロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所にて修士号取得。2018年より鳥取県倉吉市に
虹の森クリニック開業。2020年より英国に虹の森センターロンドン設立。日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、精神保健指定医、日本児童青年精神医学会認定児童精神科医、子どものこころ専門医、日本医師会認定産業医。
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婚活に17年かかった原因は発達障害!?―
<文/Rikako>
Rikako
25歳から42歳まで、婚活歴17年の元婚活ブロガー。結婚相談所から婚活アプリまで、ありとあらゆる婚活を経験した後、2020年に長年の男友達と結婚。