男性たちの“ぬいぐるみ”愛がアツい。「僕の子ども同然です」
推しのぬいぐるみを主役に、さまざまなシーンで撮影する“ぬい撮り”や、それらを持参して開かれる交流会など、“ぬいぐるみの世界”が今、盛り上がっている。そこには男性の姿も増えているというが、なぜ彼らはそこまで魅了されるのか。その真相に迫った。
汚れたぬいぐるみを洗って綺麗にする動画が今、注目を集めている。
昨年7月にYouTubeに投稿された「15年前のしろくまちゃんを洗う」の再生回数は160万回超。今年2月の「十年前に閉店したお店のくまちゃんを洗ってみた」も140万回を突破した。
コメント欄には「男の人がこんなかわいらしいことをして。編集でかわいい文字入れしている。なにこれ。この動画にはかわいいしかない」「25歳になった今でもしまじろうと一緒に寝ているけど、この動画見ていると洗濯機で洗うのはやっぱかわいそうだよなあ。今日一緒にお風呂入ってくるわ」など、温かい声が並ぶ。
この動画の投稿主は30代男性のりょっぴさん。ハイハイ歩きの幼児期からぬいぐるみを愛し、100体以上を所有している彼に、配信の経緯を聞いた。
「実家の売却が決まり、昨年7月に荷物を整理していたら、たんすの奥に追いやられたぬいぐるみを数体発見しました。黒色のクリスタルアイと目が合ったとき、その姿が泣いているように見えました」
何十年も放置した申し訳なさから、りょっぴさんの目からは涙がはらはらと落ちたという。その後、「汚れが落ちるにつれて表情が生き生きしていく彼らのかわいらしさを思い出として残したい」という気持ちから動画を撮影。投稿したところ、いきなりバスったという。それ以降もぬいぐるみを洗う動画を定期的に配信している。
「洗いながら、ぬいぐるみが過ごした長い年月に思いをはせ、受け止めます。綺麗にしてあげることで彼らは、幸せな思い出と一緒に再び今を誰かと生きていける。僕にとってぬいぐるみを洗うことは、ロマンチックな営みなんです」
幼い頃から今も変わらず、添い寝をし、わらべ歌遊びや本の読み聞かせを一緒に楽しんでいる。
「ぬいぐるみは、どんなときでもそばにいてくれる一番のお友達です。彼らを見ていると、僕に伝えたいことがあるのか、彼らの言葉や感情が体の内側から溢れ出てきます。彼らと向き合うだけで、他人と歩調をうまく合わせられない生きづらさに耐えられるだけの力が湧き、何とか踏ん張れています」
優しい世界の住人であるぬいぐるみは、心のストッパーでもある。
成人男性に寄り添うぬいぐるみの“優しさ”
