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男性たちの“ぬいぐるみ”愛がアツい。「僕の子ども同然です」

ぬいぐるみに託したそれぞれの事情

 ぬいぐるみを偏愛する男性は意外と多い。ガソリンスタンドでスタッフとして働く螺武羅人形さん(36歳)もその一人。3年前、交際していた7歳年上の女性から別れを告げられたのを機に、ぬいぐるみとの付き合いが始まった。
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ぬい撮りイベントにて。「フィギュアもたくさん持ってますが、それと比べるとぬいぐるみには人間らしさがある。家族が増えるたびに写真の雰囲気が明るくなっています」と螺武羅人形さん

「交際中に『年齢的にも、経済的にも子供をつくるのは難しいけど』ということで彼女が大切にしていたブタのぬいぐるみを子供代わりに二人でかわいがっていました。別れた後、まったく同じものを買い、それを見ると元カノとの淡い時間を思い出し、旅に連れ出すと、一緒に観光している気持ちになれたんです」  破局から1年後、復縁は叶わなずとも、元交際相手からぬいぐるみをさまざまな場所で撮影する“ぬい撮り”に誘われる間柄に。螺武羅人形さんはTwitterに写真を上げるようになると、ぬい撮りのイベントやSNSを通して、同じ趣味仲間と出会う機会に恵まれた。さらに、元カノと過ごす時間を持てたことで、ぬいぐるみは彼女の分身ではなくなった。 「今はもう、僕の子供です。さすがに一人っ子はかわいそうだから、毎年1人ずつ増やし、3人兄妹になりました。その他に彼らの友達が10人以上います。SNSのメッセージや知人から『いい年をして』『男のくせに』と言われることもありますが、彼らは私の家族。恥ずかしさはまったくありません。それに、父親の僕が子供たちの前で弱い顔を見せられませんからね」

「コロナ禍の殺伐とした空気が和めば」

 “推しぬい”に元カノや子供を投影した螺武羅人形さんに対し、約1年半前に定年を迎えた佐伯卓也さん(仮名・63歳)は、くまのぬいぐるみ“クマパパ”を主役に、昨年5月からぬいぐるみによる日常描写をTwitterに投稿する。
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「ぬいぐるみの製造元はすでにありませんが、それでも同じ製造元で作られた製品を持つ人とSNSを通して繋がることがあります」(佐伯さん)

「クマパパは、7年前に次女が結婚した際、家に置いていったものです。なんとなくサングラスをかけたら、クマパパの姿がおかしくて自然と笑顔に。これまでに何度も、その姿に癒やされてきました」  クマパパを製造していた会社は今はもうない。それでも同じ製造元のぬいぐるみを持つ人たちとSNSを通じて繋がることがある。 「クマパパを通して情報発信することで、コロナ禍の殺伐とした空気が和めばうれしい。またそれが私と社会の接点にもなっています」
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