主演男優賞は、逝去したチャドウィック・ボーズマンに取ってほしい
主演男優賞には5人がノミネート。アンソニー・ホプキンス、ゲイリー・オールドマンらベテランも並ぶ中、宇垣さんは昨年43歳の若さでこの世を去った、『ブラックパンサー』で知られるチャドウィック・ボーズマンに受賞して欲しいと力説します。

チャドウィック・ボーズマン Netflix映画『マ・レイニーのブラックボトム』独占配信中
宇垣「アフリカンアメリカンの役が限られていたなか、ヒーローにもなって、色んな活躍をして、皆が彼のこれからの活躍を期待していたなか、病に倒れてしまった。
ノミネート作の『マ・レイニーのブラックボトム』は、彼が亡くなる直前に撮られた遺作です。絶望感や目のぎらつき、断末魔の慟哭(どうこく)のような叫びと、そのあとに現れる虚無といった、ものすごく振り幅の広い、そして鳥肌が立つほどの演技を見せています。会話劇ですが、そこから目が離せなくなるのは、彼のパッションゆえだと感じましたし、主演男優賞を取るべきだと思います」

主演女優賞に関しては「言葉ではない、眼差しや背中、体で見せる説得力が素晴らしいマクドーマンドかな」と、ここでもやはり『ノマドランド』が強いと予想。
他部門でのノミネートからは、助演女優賞が見逃せないと語ります。
宇垣「実話が基の『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』のグレン・クローズと、韓国系移民の姿を描いた『ミナリ』(ブラッド・ピット率いるプランB製作)のユン・ヨジョンの、「おばあちゃん役対決」に注目です。

ユン・ヨジョン(画像:『ミナリ』より TOHOシネマズシャンテほか全国公開中
©2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved. 配給:ギャガ)
私は普段から韓国映画もよく観ますが、ユン・ヨジョンは本当にいろんな作品に出ていて、町山智浩さんも日本でいうと樹木希林さんのような、有名な大女優だと言っていました。本作でもとても愛情深くて魅力的なおばあちゃんを演じています。韓国語の作品で俳優賞を受賞したら、それもまたひとつの扉が開くと思います。

グレン・クローズ Netflix映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』独占配信中
グレン・クローズは、エンドロールにモデルの方の写真が映った瞬間、本当にそっくりでビックリしました。経済発展の中でおいていかれてしまった家族のなかで、必死に力強く踏ん張る姿が魅力的ですし、8回目のノミネートですからね。今回こそは獲ってほしいという気持ちになります」