「助けて!」DV被害を無言で知らせる手指サイン。加害者がそばにいても使えると話題
新型コロナウイルスの影響で世界的にDV(家庭内暴力)の増加傾向が見られます。日本も例外ではなく、警察庁が発表した2020年のDVの相談件数は8万2,643件(*1)と、DV防止法施行後の過去最高件数となりました。
経済的・心理的な不安の増大に加え、外出が制限されることで、家庭の密室化が進み、助けを求めること、誰かが苦しんでいることに気づくのが今まで以上に難しくなっています。
このような状況の中、加害者に気づかれることなく「助けて!」を外部に伝える新たな手段に注目が集まっています。
トロントにある「カナダ女性財団」が昨年提案したのが、世界共通のヘルプサイン「シグナル フォー ヘルプ」。オンライン通話中や外出先などで、DV加害者に行動を監視されている場合でも声を出さずに周囲へ助けを求めることができます。アメリカ、スペイン、ブラジル、スペイン、ドイツなどの国で少しずつ認知が進んでいるそう。
ヘルプサインの内容はとてもシンプル。
1.手のひらを相手(カメラ)に向け、親指を内側に折り曲げる
2.残り4本の指も曲げ、握りこぶしを作る
この2ステップです。
デモンストレーションのために制作された動画は、知人にテレビ電話でバナナブレッドのレシピを聞くふりをしながらヘルプサインを送る内容となっています。
途中、パートナーとみられる男性が通話内容を監視するように後ろを通る様子には緊迫感があり、視聴した人からは「胸がつぶれそう」「泣いてしまう」などのコメントが書き込まれています。
DV加害者の多くは、配偶者や恋人など身近な相手です。暴力のリスクにさらされている最中には、電話で声を出して通報することが難しいケース、テキストメッセージの送受信の履歴をチェックされているケースもあり、「暗号」や「ジェスチャー」を要することがあります。

世界共通のヘルプサイン「#SignalForHelp」
電話やメールが使えない場合に有効
実際、2019年にはアメリカのオハイオ州で恋人からDV被害を受けている女性の家族がピザの注文を装って警察に電話をし、機転をきかせた警察官との連携で、逮捕につながった例(*2)もありました。 直接的な言葉を使ってDVの通報ができない状況に置かれている場合、ジェスチャーや暗号のような方法が役立ちます。自分が使う立場になかったとしても、いつか誰かに助けを求められた時に「もしかして」と思えるよう、覚えておきたいものです。
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