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メイプル安藤なつ、介護歴20年の本音「介護を“罰ゲーム”にしないで」

介護のコツは「情報屋」と「彦摩呂」!?

安藤なつ×青山ゆずこ 介護漫画ゆずこ: 介護って本当正解がないと思うんです。接し方も関わり方も実は「こうしなきゃいけない!」なんて決まりはなくて、家族の数だけやり方がある。だから私は彦摩呂さんになるテクを使うんです。  たとえば食事の介助(お手伝い)をしようとしても、かたくなにテーブルについてもらえない、食事をとろうとしてくれないときってあるじゃないですか。 安藤: ありますね。 ゆずこ: そんなとき、プロの安藤さんはどう声をかけるんですか? 安藤: 何度か「ご飯だって。一緒に行こう」とか言いますけど、それでもダメなら何度も繰り返さないですね。押してもだめなら、引いてみる。ガンガン「〇〇しましょうよ!」じゃなくて、なんかもう“極秘情報を握っている情報屋”になるとか。 ゆずこ: 情報屋(笑) 安藤さん「めっちゃ小声になって、ほかの人には聞こえないようにナイショ話をするんです。「ここだけの話……今日の晩御飯マジで半端なく美味いらしいですよ……」「あれはホントやべえ……近年稀にみるくらいの極上の晩飯だ……!」「あたしもよだれが止まらねえぜ」とか。まるで激レア情報を伝えているかのようなイメージで、利用者さんの好奇心をくすぐっちゃう感じですね。 ゆずこ: そんな風に言われたらすぐにでも食べたくなる(笑)。今日のネタ(食事)はなんだ……!?って気になってしょうがないですね。 安藤: 結構効果ありますよ。声のかけ方とか、どんなトーンでどんな内容で話せば効果的なのかとか、介護される側の人それぞれみんな違うツボがあると思うんです。だから淡々とそのツボを探るというか。 ゆずこ: すごいなー! 情報屋ごっこテク。 安藤: いや、自分はゆずこさんの“彦摩呂さんになるテク”の方がよっぽど気になりますけど……。

「食べないとダメ」という正論で責めない

ゆずこ: 私の場合は好奇心をくすぐるというより、胃袋をくすぐる感じですかね。  うちのばーちゃんは気分が乗らないと「食べたくない!」って食事を突っぱねることが多かったんです。でもそこでいくら「栄養が偏っちゃうから食べないとダメ」とか「食べないと元気にならないよ」とか“正論”で責めても意味はなくて。 安藤: ほう。 ゆずこ: そんなときは、相手よりも先に食べちゃうんです。それもめちゃくちゃ美味しそうに。気分だけは「超食欲をかきたてられる、グルメレポーターの彦摩呂さんを超えてやるぜ!」っていう感じです。食欲がない背景に、病気やなにか別の原因がある場合は話は別ですが、これが結構効果があるんですよ。
安藤: 食欲をかきたてられて、思わず生唾を飲んでしまう食レポ……! あんたただ者じゃないね。 ゆずこ: 目の前で口いっぱいに「はふはふっ」と炊き立てのご飯を頬張って、間髪入れずにたっぷりタレに絡めたサバの味噌煮を放り込む。もう最強。最高。軽く3膳はいけるから本当に困る。糖質制限ダイエットしてるのに。 安藤: 普通に食を楽しんでますね。 ゆずこ: まあ、楽しんじゃっていいんですよ。  なんなら「これうっま! 超美味しいからばーちゃんにも一口あげる~♪」って“ちょっと一口”を積み重ねたり。それで、気が付いたらペロリと一人前食べてもらっちゃうんです。最初は気分が乗らなくて食欲もなかったばーちゃんが、「これはいい味だ」って言いながら完食してくれるんですよ。もうめっちゃ気持ちがいい(笑) 安藤: なんかいいなあ……。
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介護に対する暗いイメージ、なぜ?
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