『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』ジョン・J・レイティ&リチャード・マニング著(NHK出版/2014年)
「その不調、野生に戻れば治ります!」――こんな煽り文句から始まる出版社の本書に寄せた紹介文が秀逸なので、ぜひ引用したい。
「スマホやパソコンのOSがどんなにアップデートされようとも、あなたの体は5万年前から変わらない〈人類1.0〉のままだ。そもそも野生の体には、ガンも鬱も肥満も高血圧もない――」
本書の主題を象徴するこの刺激的な現実。旧石器時代に思いを馳せる際、このことをぜひ考えてもらいたいのです。
人類の400万年の進化のうち、農耕はたった1万年前に始まったにすぎない日の浅い食文化。糖質ばかりを食べる現代の食事が、現代人を悩ます病気を引き起こしているのではないか?
もちろん、ストレスやその他の要因もあるでしょうが、まったく当てずっぽうな考察ではないことは明白です。
人類の進化と現代社会の歪みをわかりやすく教えてくれる
僕が本格的に断糖高脂質食へと舵を切ったのは、たまたま「現代人が旧石器時代の食事を4週間続けると、口腔内環境が劇的に改善する」という論文を知り、自分の体で実験してみたことに始まります。
ただ、それでたった2か月で30㎏以上も痩せた。この強烈な経験は、まさに「不調を野生に戻ることで解消」していたことにほかならない。リーバーマン教授の人類学やこの本などを貪るように読み、僕が実体験で得たおぼろげな仮説が科学的に立証されていたことに、非常に興奮したのを覚えています。
著者は、今でこそ一般的になったADHDを’90年代に初めて世に分かりやすく紹介したハーバード大学の医学博士。神経精神医学の世界的権威として、’97年以来ベスト・ドクター・イン・アメリカの一人に選ばれ続けている人物。
副題に「科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス」とあるように、人類学、医学的に人類の進化と現代社会の歪みをわかりやすく教えてくれる良書なのは間違いありません。
【企業グループオーナー・作家・金森重樹氏】
東京大学法学部卒。25歳で1億2000万円の借金を負うも35歳で完済。行政書士として脱サラし、現在は不動産、ホテル、福祉事業など年商100億円の企業グループオーナーとして活躍。『ガチ速』シリーズほか著書多数
―120歳まで現役で生きる―
<取材協力/仲田舞衣 撮影/高橋宏幸>