3年ほど前のある日、妻から帰宅が遅くなると連絡があった。
「友人とカラオケに行く、と。楽しんでおいでとメッセージを送りました。僕は早めに帰って子どもたちと夕食を作って食べた。夜10時頃かな、妻がご機嫌で帰宅。『ママ、お友だちとカラオケ行っちゃった』と子どもたちに楽しそうに報告していました。子どもたちも、じゃあ、今度、みんなで行こうと盛り上がって。
母親が遊んで帰ってくるって悪いことじゃないなと思ったんです。それが女友だちだろうと男友だちだろうと、もしくは恋人だろうと、妻がこんなにご機嫌ならいいんじゃないか、と」

妻も味をしめたのか、ときどきタクヤさんの予定などを聞いてくるようになった。残業や出張がなさそうな日なら、彼は理由を聞かずに「その日なら早く帰れるよ」と言うことにしている。
「2年前かな、僕も好きな女性とデートしてみました。楽しかったです。その後、それが恋に発展して……。妻はおそらく気づいているんじゃないかと思うんですが、何も言いません。
妻も誰かと恋愛している雰囲気もあるんですよ。お互いにちょっと嫉妬しながら、でも家庭をうまく回しつつ恋をしている。そんな気配です。もうお互いに若くないし、結婚生活も長くなった。だからこそ、こういうちょっとした冒険をしてもいいんじゃないか。そんな気がしています」
もし妻が本気の恋に走ったら、タクヤさんはどうするつもりなのだろうか。
「本気の恋をしても、分別のある女性です。そういう意味では妻のことを信頼している。子どもを捨てて恋に走っても、相手とうまくいくかどうかを考えればわかるはず。そんな無鉄砲はしないと思います」

タクヤさんもまた、無鉄砲はしない。2年前に恋した独身女性とはコロナ禍の昨年夏に、納得しあって別れた。
「40代の恋は、つらい別れも覚悟の上じゃないとできないと改めて思いました。独身の女性から別れたいと言われたら、絶対に引きとめてはいけない。既婚で大人だからこそ、自制しながら、恋心を楽しむしかないですね。
それでも夫婦が束縛しあうより、お互いに外で刺激を受けて家庭に還元するほうがいいと僕は思っています」
妻の恋を詮索(せんさく)する気はないが、もし妻が落ち込むようなことがあれば支えると彼は言う。今の段階では不思議な夫婦関係だろうが、もしかしたら今後はレアケースではなくなるのかもしれない。
【他の回を読む】⇒
「シリーズ40代の恋」の一覧はこちらへ
【他のエピソードを読む】⇒
「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ
<文/亀山早苗>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】