洋服で印象を整えた後、次に気にするべきは「身体の向き」と「姿勢」の二つ。
「なぜ、『身体の向き』と『姿勢』が重要視されるのかというと、相手から一番目につきやすい大きな領域だからです。体を向ける方向や足先は人間の無意識を表すため、身体や足先が話をしている人の方向を向いていないと、『この人は話に興味がないのかな?』という印象を与えます」
仮に、上司が自分の方向を見て話していなくても、自分の身体や視線は上司の方向を向けておくのが得策。姿勢も同様で、ピンと背筋が伸びていると、「あなたの話を真面目に聞いています」という無意識のアプローチになるそうです。
「銀座ホステス時代、ママから私が最も厳しく言われたのも、この『身体の向き』と『姿勢』でした。お客様のお話がたとえ退屈だったとしても、相手のほうに体ごと向けて、ずっと視線も送って、『あなたに興味がありますよ』と向きと姿勢で示していたのです。おかげで、私はいまだに人前では猫背になれません。どんなときでも人の前では話をしている人の方向に顔を向けて、背筋をピッと伸ばして聞く癖がついています。無意識に身体の向きや姿勢を常に美しく保つことができれば、一生使える武器になります」
誰しも、苦手な上司と対峙するときは、多かれ少なかれ緊張をしてしまうもの。しかし、そんなときに注意したいのが「緩和動作」を取らないことです。

「人は緊張すると、その緊張を緩和するために『適応的動作』といって、自分の緊張をなだめる行動を無意識にとるようにできています。腕を組んでしまう、髪を触ってしまう、何かを握りしめている……どこかを触ったり、閉じたりすること。こうした不安を解くような動作をすると、『この人、自分に自信がないのかな?』と勘違いされてしまいがちです。たとえば、腕組みは、なだめ行動であると同時に、防御の姿勢だと言われています。本人にとっては安心する動作も、相手には『防御・拒絶のサイン』だと解釈されてしまいます」
無意識の行動に自ら気がつくことは難しいもの。ただ、上司に怒られているときなど、肝心な時にこそ、より姿勢や身体動作を意識することが大切です。
「手を横にピッとつけて、背筋を伸ばし、身体の動作を固定してしまえば、無意識の適応的動作を取らずに済みます。たとえ怒られたとしても、相手に悪い印象を抱かせないためには、上司と対峙するときは無意識レベルで、その姿勢を取れるようにしておくのが理想的です」
日頃何気なく行っている些細な行動や習慣に配慮するだけで、上司からの評価は驚くほど上がる可能性も。ぜひ、実践してみてはいかがでしょうか?
【水希さん プロフィール】
東京中央カウンセリング代表。臨床心理士・公認心理師。社会学修士号・教育学修士号。一般企業で広報・PRの仕事に従事する中で、過労から内臓疾患とうつ病を発症する。その後、銀座でホステスに転身、人気No.1となる。自身のうつ病体験から心理士となり東京中央カウンセリングを開業。近著に『
銀座No.1ホステスの上司の評価が上がる知的なルール』
<文/女子SPA!編集部>