大きい肉を選ぼう!切れば切るほど肉汁が逃げてしまう
――バーベキューに合う肉を選ぶコツを教えてください。美味しい肉を食べようと思ったら、やっぱり肉屋さんで購入したほうが良いのでしょうか?
中村:スーパーで問題ないですよ。焼肉用のスライス肉ではなく、大きい肉がおすすめです。例えば、鶏もも肉だとカット済みのものではなく、1枚そのまま焼きましょう。カットされている肉って、そのぶん表面積が増えているので、肉汁が出やすいんですよ。野菜も同じです。切った断面から水分がどんどん出るので、パサつきやすくなります。
――大きい肉だと、表面がこんがり焼けたから、切ってみたけど生だった……。ということも多いかと思います。焼き方のコツはありますか?
中村:大きな肉を焼いて、焼けたかなって思ったら切ってOK。中が生でも全然いいんですよ。切ってみて焼けてたら食べたらいいし、生だったら「時短!」って言ってまた焼けばいいんです。半分に切ったら、そのほうが早く焼けますから。
あとは、炭をコンロ全体にしかないことが大切です。炭が多いところ、中くらいのところ、ほぼないところ、の3段階にするとよいです。
食材を炭の上に置いている=強火のフライパンにのせている、なので。どんどん焦げてしまいます。大きい肉を焼くときは、炭がないスペースに肉を置いて、フタをして、空間で焼くといいです。
――空間で焼く……?
中村:フタをすると、その空間に熱がこもるので、オーブン状態になり、じっくり中に火を入れることができるんです。
例えば、肉の塊をフライパンでザッと焼いて、オーブンで加熱すると、ローストビーフができますよね。そのようなイメージです。アルミホイルでフタを作るのもいいですし、100均に売ってるボウルに鍋の取手をつけて、鉄板焼き屋でよく見るようなフタを自作するもおすすめですよ。
炭がないスペースは、焼けた肉や野菜の避難場所、つまり保温スペースにもなります。焼けた食材を皿の上にとっておく人も多いですが、冷めて美味しくなくなるし、誰のか分からないから食べてもらえない、なんてこともありますよね。それも防止できますよ。
――なるほど。一般的に「高い肉は美味しい!安い肉はカタい!」というイメージがあります。安い肉を美味しくいただくコツはあるのでしょうか。
中村:よく皆さん「国産」とか「和牛」とかにこだわる傾向があるじゃないですか。アメリカとかオーストラリアの肉はカタくて食べれないとかって。でも、輸入のお肉って美味しいんですよ。
輸入のお肉は、和牛と比べると水分量が多いので、身がプヨプヨしています。塩ふって、一晩休ませると、身も味も引き締まるので、ちょっとした手間を加えるのがおすすめです。日本の牛肉の価値基準は「歩留まり(牛1頭からとれる肉の量)と脂肪交雑(霜降りの度合い)、どれだけきめ細かくサシが入っているか」なんですね。どんな肉が美味しく感じるのかは、好みだと思います。