
――それはどういう意味ですか?
石川「キャスト同士が連絡先を交換するのを禁止している店もあります。キャストは個々によってお給料も違えば、お店でのキャラ作りも違います。例えば、キャストが『彼氏がいないキャラ』を店で演じていても、なにかのはずみで他のキャストが『実は彼氏がいる』と漏らしてしまったら、すごく怒ってしまうお客さんもいます。必ずしもキャスト同士の関係がギスギスしているわけではないですが、
お互いのプライベートを知りすぎないようにある一定の距離を置いて働く人達が多いのです。もちろん、ケースバイケースですが」
――キャストは、客に夢を売るアイドルのような役目を果たしているわけですね。
石川「はい。プライベートをお客様にオープンにしているキャストも一部いますが、だいたいの方は子供、夫や彼氏の有無、年齢、人生の目標、などキャラを作っています。“素の自分”で接客する人は少ないでしょう。
『セックスワークisワーク』という理念がありますが、接客はあくまで仕事。そこはお客さんサイドにも認識してほしい。店やキャストが提示する以上の過剰なサービスを求めるのはルール違反だということを。
キャストがお客さんに嫌な目に遭わされていても、店がそれを見逃してしまう場合も多々あります。とにかく、この理念が認識されることは働いているキャストがお客さんに対しても、お店に対しても権利を主張する、身を守るという点で大切なことだと思っています」
――夜職とはいえ、お店で働いていない時間帯も、お客さんとLINEでやりとりしたり、お店のブログを更新したりと、実際は日中も働いているキャストもいると聞きました。
石川「昼にやっているお店もあります。営業時間外に仕事をしているキャストもいます。それは人によりますが、マメな方はお客さんと頻繁なやりとりをして、お客さんに来てもらったりしていますね。お店はキャスト同士で競争させるので……。ただ性風俗だと連絡先は教えなかったり、業種によって変わります」