――夜職に対する偏見のなかで、男女の性別で違いはありますか?
石川「私の見聞きした限りでは、男性と女性だと偏見の性質が違うかもしれません。私達の活動が大手新聞紙に取り上げられたときに、あるシングルマザーから『
昼間働いている私のほうがよほど大変なのに、なぜナイトワーカーを救済するのか』という苦情の連絡が来たことがあります。女性だと『私達は夜職に頼らずに、必死に真面目に昼間働いているのに』、男性だと『女性の性は家のなかにあるものだ』という偏見を感じました」
――性風俗業に従事する女性のなかでシングルマザーは多いのですか?
石川「全体的な数字は分かりませんが、
個人的な感覚だと朝キャバや昼風俗だと8~9割がシングルマザーという感覚です。私が見てきた店だけですし、年齢層もエリアや店によって変わるので一概には言えません」
――先程、「夜職についている人達は悩みを相談しづらい」とおっしゃいましたが、彼らは罪悪感から助けを求められないのでしょうか?
石川「夜職の人々のなかでもシングルマザーは罪悪感を感じていて、社会規範から逸脱した存在だと自らも思ってしまっているように感じます。世間一般から見たらそうかもしれませんが、子供を思う気持ちは昼職も夜職も関係ないと思います。私の周囲の夜職のシングルマザーたちは、昼職の母親と同じように必死に働いています。
子どもを成人させられたら死のうと思っているとおっしゃる方もいました。負い目を感じないでいられるようにしたいです。
また、夜職の女性達は同じ悩みを抱えているのに、競争社会ですから、同僚と“横のつながり”を築くのが難しい場合が多いのです」