――共演者の方との関係も少し教えてください。今回、かなり密に作品や役について話し合われたそうで、その姿勢に、中川大志さんが林さんから役者として影響を受けたとお話されていました。意識して積極的に話をしようと動いていたのですか?

『犬部!』より
林「いえいえ、僕自身、不安だったんです。時代を行ったり来たりする物語で、撮影の順番も行ったり来たりしていましたし、僕もいまどういう時期のどの気持ちの部分を撮っているんだろうと、正直パニックになりそうなときもありました。そのなかで、みんなで確認し合って補いながら進んでいくことが、自然な流れだったのだと思います。
ひとりひとりが自分の役に愛情を持って撮影に入ってきて、そこに迷いや理解できていない部分を持ちたくなかったので。
描かれていない部分をみんなですり合わせていくことによって、『犬部』のみんながしっかりと一緒に歩んできたんだという説得力を持ちながら現場に立てればと。みんながそうした同じ思いだったからこそ、自然に話し合いができたのだと思います。
作品から考えさせられるところもありますし、ロケでそうした時間を取れたことも大きいです。そうしたくてもできない作品もあるなかで、こうやって現地に行って、題材となっている場所でそこの人たちと触れ合える撮影は、やっぱり楽しいですし、役を演じるうえでの気持ちも自然と強くなると思うので、とても有難いことでした」