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林遣都『犬部!』が描く多頭飼育崩壊のリアルを、脚本家に聞く「犬猫110匹と住む女性も」

日本にもアニマルポリスが必要

――社会から孤立している。 山田「疎外されて、人間はみんな敵だと絶望していて、犬とか猫に心を寄せていく。でもお金もないし知識もないから、不妊去勢手術をすることもできずに、どんどん増やしてしまう。もともと極悪非道な人ってわけじゃないんです。社会的弱者なんです。誰にも頼ることができずに、孤立しているんです。だからそういう人を救えるシステムが必要なんですよね」
日本にもアニマルポリスが必要

『犬部!』より

――中には最初から虐待を目的に動物を飼う人もいます。 山田「そうですね。酷い人も中にはいます。あるときの取材で、猫の背中に毛がなかったので、『どうしたの』と聞いたら『熱湯をかけたんだ』と。  私はイギリスの団体でボランティアとして働いたこともありますが、インスペクターという職業の人がいて、動物が虐待されていないか地域を見回りしてるんです。動物愛護団体に所属していて、地域の警察や動物病院と連携しています。インスペクターが危ないと判断した場合、まず動物の状態を獣医師に写真などで見せて、命の危険がある場合、現場に、インスペクターと警察が一緒に行って、保護します。  動物愛護団体(インスペクター)、獣医師、警察が三位一体となっているんです。日本では虐待をしていても、所有権を主張されるとなかなか手が出せない。そこは変えて、アニマルポリスみたいなものができたらいいなと思います」 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

誰でも動物と暮らせるシステムを作るべき

――イギリスでは年齢も関係なく保護動物を引き取れて、飼い主が亡くなった場合も動物を救える制度があるとか。山田さんが作られた番組で拝見しました。
誰でも動物と暮らせるシステムを作るべき

『犬部!』より

山田「80歳でもちゃんと飼えると判断されたら引き取れるし、二十歳でもダメな人はダメ。年齢じゃないんです。日本でもシステムが変わりつつありますが、まだまだですし、このままでは日本で動物を暮らすことは、お金持ちだけが楽しめる趣味になってしまう。それは違うだろうと思います。誰でも動物と暮らせるシステムを作らないと。そしてダメになったときに、セカンドチャンスがある、助けを求められる世の中がいいなと思います」
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中川大志が演じた役にもモデルがいた
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