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五輪マラソンの札幌ルポ。“密な観客”と”交通規制でウンザリな人”に話を聞いた

移動制限で市民は配達遅延や職場へ遅刻寸前に

 スタートを見た後は地下鉄の北13条東駅に移動。駅のすぐそばにはマラソンの周回コースになっている創成川通(そうせいがわとおり)があり、このあたりは14km、24㎞、34km過ぎのポイント。
創成川通を走る先頭集団

創成川通を走る先頭集団

 札幌中心部を南北に走る幹線道路ですがマラソン当日は片側車線が約6時間も通行止め。レースは土日でしたが普段から交通量が多く、迂回を強いられたドライバーも多かったようです。 「週末も仕事だったのですが遠回りしなきゃならず、会社に遅刻しそうになって大変でした」  うんざりした様子で話してくれたのは、創成川通を毎朝利用しているマイカー通勤の20代女性。  一方、7日の女子マラソンは、前日に急きょスタート時刻が1時間繰り上げ。それに伴い道路の通行止めも1時間早まったのですが、そのことを知らなかった人も多く、「朝4時過ぎならまだ大丈夫だと思ったらすでに通行止め。おかげで配達が遅れてしまった」とボヤくのは運送会社の40代運転手。 交通規制 さらにコースになっている道路はレース中の横断は当然不可。中心部以外は地下道も少ないため、ドライバーだけでなく歩行者も移動にはかなり不自由したようです。

自転車をかついで地下構内を移動する人たちも

「いつも仕事前に子供を託児所に連れて行くのですが、マラソン当日は通行止めで横断歩道を渡れず、子供を乗せたまま自転車をかついで地下鉄の階段を上り下りしなければなりませんでした」  そうこぼすのは30代のシングルマザー。実際に地下鉄の北24条駅は、駅の真上がマラソンコースになっていたので交差点が使えず、彼女のように自転車をかついで地下鉄駅の構内を移動する人が続出。1人や2人ではなかったのでかなりシュールな光景でした。
閉鎖中の地下街出口

閉鎖中の地下街出口

 例年初夏に開催されるよさこいソーラン祭りでも交通規制はありますが、こちらはあくまで大通公園周辺を含む狭い地域。今回のように市内の広範囲が連日にわたって通行止めになったことは初めてで、仕方ないと受け入れつつもうんざりしていた札幌市民も多かったようです。

成功だったかは今後の感染状況次第?

ゴール地点

ゴール地点

 開催を素直に喜べなかったのも道内や札幌の新型コロナの感染者増加という実情もあるでしょう。4~5月の第4波ほどではないにせよ、8月13日時点で、札幌市の病院以外の宿泊療養施設や自宅待機者の数は1851人、1日あたりの新規感染者は248人で増加傾向を見せています。  都内の感染者が五輪開幕後に急増しただけに、道内や札幌でのさらに増加するのではと不安に思っている人は少なくありません。本当の意味で地元の人が今回の競歩・マラソンについてどう思うか、それは今後の感染状況によって変わってくるのかもしれません。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます <文/トシタカマサ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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