「更年期になると、卵巣は加齢によって機能が低下していきます。そのため脳からの指令通り、きちんと女性ホルモンを放出する事ができなくなり、
反応しない卵巣に脳が指令を出し続けることで、脳がパニック状態をおこし、様々な症状が体に出始めるといわれています」

女性ホルモンがきちんと放出されなくなった結果、ホルモンの不足やアンバランスが引き起こされ、不調へとつながるのですね。ただ石山先生いわく、これら体の不調も全てが女性ホルモンの問題“だけ”ではないといいます。
「視床下部の指令というのは、自律神経や内分泌物(種々のホルモン)や免疫の調整役を担っています。視床下部は
ストレスや生活習慣によって影響を受けやすく、するとこの指令が正しく調整されなくなってしまうんです。つまり、人によっては更年期による不調だと思っていたものが、実はストレスによる自律神経の乱れによって引き起こされていた、なんてケースも多いんです」
仕組みとしてはシンプルだけど、見分けるのは複雑な気もするプレ更年期と自律神経の不調の関係。
よくある症状として、イライラや異常発汗などが思い浮かびますが、実際更年期による不調なのか、それとも自律神経による不調なのか、見分けるポイントはないのでしょうか。

「
症状で完全に見分けるのはとても難しいです。そもそも更年期による不調の種類は、200ほどあると言われています。更年期の代表的な症状は、ほてりやめまい、イライラや発汗などですが、人によって何が出るか個人差はかなりあります。
ただ更年期症状のほうは、『
自分にとって弱い部位に出やすい』という傾向はあるように思います。例えば体調を壊すと肌荒れしやすいという方は、更年期になり皮膚病などが症状として出るケースがあります。他にも、長年頭痛持ちの方が更年期症状として頭痛を訴えるケースも。
皮膚病や頭痛はあまりイメージのない方もいるかもしれませんが、自分の体質と照らし合わせ、まずは体調の変化をみていくのが良いかもしれません」
こうした症状を、更年期によるものか自律神経の不調によるものかを見分ける際、石山先生は問診だけで断定するのではなく、ホルモンバランスなどを測り、そしてホルモン補充療法や漢方療法などを相談しながら実践し、体の変化がどう出るかで見分けるといいます。
生理や妊娠なども不思議で複雑な仕組みだなと思っていましたが、更年期も、こうして仕組みを学ぶとやっぱり不思議。奥深い女性のカラダのこと。健やかな生活のためにも、ぜひ知識として知っておきたいものです。
―30代から知っておきたい「更年期」のこと―
【石山尚子】
1996年富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。産婦人科専門医。富山大学附属病院および関連病院勤務の後、2007年より
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座勤務。
<取材・文&イラスト/おおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
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