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岩田剛典はなぜソロデビューできたのか?“王子様キャラ”からの驚異のイメチェンが鍵に

EXILE系には珍しい“王子様キャラ”が定着

『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』DVD(松竹)

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 そもそも岩田がソロで歌声を披露したのは、実は今回のデビュー曲が初めてではない。2018年10月から放映された味の素AFGのCM『「ブレンディ」スティック 朝オーレ!』篇では、爽やかな朝、窓辺でギターを弾きながらソフトな歌声を響かせる姿がすでに話題となっていた。  そしてこの2018年が表現者としての岩田にとっては非常に重要な年となったことをここで強調しておきたい。この年、相次いだ公開された『去年の冬、きみと別れ』と『Vision』の2本の映画作品が表現者としての岩田にとってはひとつの大きなターニングポイントとなっている。  三代目のパフォーマーとしてデビューした2010年当初の岩田は、男気のあるワイルドなEXILE系のカラーとしては稀な、爽やか王子様キャラのイメージが強かった。ライブステージやテレビ番組出演でみせる天然な雰囲気とトレードマークの爽やかスマイルに女性ファンの心はメロメロにさせられ、「岩ちゃん」という愛称も定着していた。  映画初主演作となった『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)は、そんな爽やかな岩ちゃんのイメージを全面に押し出した作品だった。ブレンディの新CMも基本的にはこの延長にあるが、そこから岩田が踏み切る驚異のイメージチェンジには度肝を抜かれる。

イメージチェンジを果たした2018年

『去年の冬、きみと別れ』DVD(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

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 まず、後味の悪い作風で有名な中村文則の同名小説を原作とする『去年の冬、きみと別れ』では、恋人との壮絶で切ない過去を持つ主人公・恭介の復讐劇が描かれ、岩田は恐るべき怪演を見せた。  周到に手の込んだ復讐を遂げた恭介が冬の寒々しい海辺で恋人からの手紙を焼き払って過去へのけじめを付ける場面。炎を見つめる岩田の表情はこれまでの岩ちゃんのイメージへの完全な決別のようにも映っていた。  この作品で俳優としての可能性を自ら押し広げた岩田にとって、続く『Vision』でカンヌ映画祭の常連監督で「東京2020」の記録映像の演出も担当した河瀬直美監督の下、フランス映画界を代表する大女優ジュリエット・ビノシュとの共演がさらに大きな後押しとなった。  古都・奈良で撮影された本作はストーリーラインを追っただけでは一見難解な作品だが、吉野の山林が持つ神秘的な雰囲気に魅せられた謎の青年・鈴を演じる岩田は、この役を通して自らの表現性の“Vision”(未来図)を頭の中で描きながら、ビノシュの演技に対して脊髄反射的な反応で応えていたように思う。そこはさすが、ダンスパフォーマーとして培った身体能力が演技に即活かされたのだろう。  そうして手にした未来図があったからこそ、いざソロデビューを果たそうとしたとき、“korekara”の見通しも自ずと立ってきたはずだ。岩田にとっての2018年は、このように表現者として大きな飛躍の一歩を踏み出すためのスタート地点となったのだった。
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『空に住む』で開かれた新境地
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