
生活保護費が月10万円を下回る。生きるのに必死で、人生の立て直しは難しい
取材を進めると実は最近、風俗に復帰していたことがわかった。申告していないので、いわゆる“不正受給”である。
「そういっても今週はお茶引き(指名がなく無収入のこと)で収入はゼロ。コロナ前よりも格段に稼げなくなっていることを実感しました。3日前は電車代すらなくなって店から自宅まで20㎞を歩いて帰りましたよ。ここ数か月は80歳の爺さんを裏引き(店を通さずに客と会うこと)しているけど、これもいつまで続くか……」
そう語る立花さんは、特に悪びれる様子もない。学歴もキャリアもなく、年齢を重ねるほど風俗業では指名も収入も減る――立花さんの困窮は続く。
かなり危険な状況ですね。まず不正受給は、悪質な場合は詐欺容疑などで逮捕されるケースもあるので、一日も早く解消するべきです。
「現金手渡しの風俗なら足がつかない」と考えているのかもしれませんが、性風俗業も今の立花さんの年齢的には、今後も続けるのはかなり厳しいはずです。
これはもちろん当人のやる気次第ですが、正直、50代中盤の立花さんが生活保護費以上の金額を自力で稼いでいくのは、現実的には至難の業。また過去には大病もされているそうなので、医療費の面でも保護を受けていたほうが無難でしょう。生活保護では、医療費もかかりませんし、通院のタクシー代を申請することもできます。最近では、新型コロナウィルスのワクチン接種に必要な交通費を申請することもできます。(https://seiho-navi.net/210830/ から補足)
ちなみに現在、国民年金として受け取れるのは、月額にして約6万5000円(編集部注:年金保険料を40年間すべて支払っている場合に、65歳から受け取れる額)。高齢になり貯蓄も持ち家もなく、国民年金のみで暮らして、ギリギリの生活をしているよりも、場合によっては生活保護を受けたほうが余裕のある生活になる人もいます。
現状を受け入れて、国が定める“最低限度の生活”と、ご自身の望む生活水準との折り合いをつけるべきです。
「生活保護は恥」と思う方もまだまだいらっしゃいますが、これは権利です。権利を使うことに後ろめたさを感じる必要はないと、改めてお伝えしたいですね。
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<取材・文/週刊SPA!編集部>