
『「がんになって良かった」と言いたい』(山口雄也+木内岳志)
「死にそうなときだけ、人が寄ってくる。その事実が、僕をたまらなく死にたくさせました」
冒頭の言葉は、ここで出たものだ。白血病と診断された山口さんのもとには、また多くの人からの応援メッセージが届くようになった。
「振り返ってみると、最初にがんが発覚したときはもちろんコロナとかもなくて、たくさんの人がお見舞いに来てくれたんです。SNSでもたくさんメッセージが届きました。お見舞いの品が届くこともあった。自分ってひとりじゃないんだな、必要とされているんだなって思えた。だけど、退院したらサーっと人が引いていって、ひとりになった感覚がありました」
卑屈なのはわかっているけど、と山口さんは力なく笑う。
「みんな、死ぬときにだけ寄ってくるんやなって思うと、虚しくて」
退院後、勉強に身が入らなくなったのも、孤独感から来ていたのかもしれない。
「闘病生活をしているときは、生きたい!と思わせる刺激があったのに、それがなくなった気がして」
そんな心境の真っ只中に受けた「白血病」の診断。再び幕を開ける入院生活を前にして、彼は絶望を感じるどころか、歪んだ希望を感じたのだという。
「ずっとずっと死にたいと思っていたのに、病気になって応援されたら、また生きたくなった」
その言葉を絞り出した山口さんの声は、震えていた。
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<後編>「僕らは一緒かも」享年23歳の京大院生が遺した“死にたい人”への想い|山口雄也×yuzuka
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