――ライブ映画としては、マーティン・スコセッシ監督の『ラスト・ワルツ』(1978)などが有名ですが、監督にとってライブ映画とはどういうものなのでしょうか?堤:ライブ映画が独特の存在感を持っていた頃から、僕のエンターテインメントへの関心は始まっています。古くは1969年、40万人を動員したウッドストックの伝説的なコンサートのフィルムです。照明も何もない暗いところでジャニス・ジョプリンが歌い、ジミ・ヘンドリクスがギターに火を付けたり。
逆に言えば、ロック映画しか観ていませんでした。中学生から大学生まで、所謂テレビドラマや映画は観ていないんです。『猿の惑星』(1968)など、話題になっているから常識として観に行くくらいのもので、あとはビージーズが主題歌だから、『小さな恋のメロディ』(1971)を観に行くくらいです。音楽と結びつきのないものには参加しなかったですね。
MTVもないインターネットもない当時の状況はありました。最高峰が、ウッドストックであり、レッドツェッペリン狂熱のライブと後に言われているライブ映画、あるいはエルヴィス・プレスリーのステージだったり、ライブ映画でしか情報を得られないんです。それから地方のヤマハで主催されるフィルムコンサートがあり、小さな会議室で上映されるローリング・ストーンズのライブ映像もありました。その時も何を観るかと言うと、ミック・ジャガーではなくて、後ろに並んでる楽器のつまみの位置などマニアックな視点でした(笑)。
だからロック映画というのは独特の祝祭的なもので、エンタメがない時に強烈にアーティストの存在を植え付けるものとして僕の中ではあります。今回の『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』は。アーティストとしてはもちろん傾向は違いますが、頭の記憶にずっと残る強いものでありたいと思いましたね。