――次へのステップに向けて意識していることや課題などはありますか?
森田:まだまだ課題が多く、自分のことをいいなと思える作品を増やして行きたいという想いがあります。台本に書かれていないことを自分の想像力で補うのは自分だから、自分が豊かでないと、そういう発想は出てこないんですよね。アウトプットするためのインプットがなさすぎるんです。自分の生活してきたものがそのままお芝居に現れてしまうので、わたしがいろいろと持っていないと、役に命をあげられない。それは常日頃感じているところです。
――そのためには、どう努力を重ねていかれますか?
森田:色濃く人生を生きる、ちゃんと生活するということですね。ご飯を食べて寝る、そういうことを自覚をもってする。普通のことをちゃんとできるようになりたいです。ある監督が言われていたのですが、バスに乗ったことがない人、スーパーに行ったことがない人はすぐわかると。役が20代だったら、そこまで生きている過程がありますよね。
自分の役なら自分でできますが、そうじゃない人生や役をちゃんと生きることって、難しいです。今回のムクドリさんを本気で生きるなら、ゼロ歳からムクドリさんの人生じゃないとできないんですよね。でもそれは難しいことなので、なったつもりで演じる。そのためにも常に、自分の部分を広げて行かないとなって思っています。
©2022『さがす』製作委員会
<取材・文/トキタタカシ>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、
インスタグラムにて写真レポートを行うことも。