
「小麦の奴隷」福井森田店 ※エスダムスメディアのプレスリリースより
「
トリュフベーカリー」も好事例のひとつ。ヨーロッパの専門食材を扱う事業を基盤とした商品づくりが強みで、商品数も店舗数も着実に増やしています。食卓パンに“トリュフ”を加えて焼き上げた「白トリュフの塩パン」は自社の強みであう特選食材を活用した名作です。
他にも、地方活性型のFCベーカリー「
小麦の奴隷」は全国展開が進み、新食感のザクザクカレーパンを看板商品として、初心者でも参入しやすいビジネス基盤が確立しています。つまり、単においしいだけではなく、ビジネスの継続性や戦略まで構築されているケースが実証されています。
食パンという1ジャンル、かつブランドイメージのような直感的要素だけで消費者はついてこないということ。
消費者のニーズや好みは変わっていくものですし、そこには多様性も存在しますから、それらをふまえた商品作りや価格設定を、冷静なビジネス視点で戦略的に考える必要があるでしょう。
また、パン作りの確かな技術が活用されていること(熟練された職人が必ずしもいなくてよく、それに代わるようなテクノロジーがあればOK)やホスピタリティも重要。予約をしないと購入できないような、お客に手間や無理を強いる場合は、それ以上の満足度で期待に答える必要が出てくるということも忘れてはなりません。
消費者のニーズを丁寧に捉えて、さまざまな試行錯誤や進化をしているベーカリーは、すぐに閉店に追い込まれてしまうことはないはずです。
これからも素晴らしい名店が登場することを楽しみつつ、素直にパンへの愛情を深めていければなと、消費者の立場としても強く願っています。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>