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ナプキン買えない子を助けたいのに…無料配布に反対する人の“ガッカリな理由”

近年、「生理の貧困」が社会問題化しています。経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいる……。これは今年実施された厚生労働省のインターネット調査でも明らかになっており、「一昨年2月以降で生理用品の購入や入手に苦労したことがある」という女性は全体の8.1%にものぼり、その理由としては「自分の収入が少ないから(37.7%)」などお金に関するものが上位を占めました。
生理用品 ナプキン

写真はイメージです(以下同じ)

この状態を打破すべく立ち上がったのが、北海道在住の一般社団法人JOYの代表理事である、生理用品マイスターのささきさん。ささきさんは「生理用品無料配布プロジェクト」として、様々な事情で生理用品が手に入らない女性への支援を行っています。 今回女子SPA!編集部は、ささきさんにリモート取材を行い、その活動やリアルな現状について話を聞きました。

生理用品を無料で配ろうと思った理由

――ささきさんが「生理用品無料配布プロジェクト」を行うことにした理由を教えてください。 ささきさん(以下、ささき)「去年の3月にテレビのニュースで『生理の貧困』問題についてを取り上げられているのを見たのが最初のきっかけです。まずは私が経営している雑貨店(現在はオンラインのみ)に置いておくことから始めました。そうしたら、これに賛同してくれた方々が生理用品を持ってきてくれたり、PayPayで寄付をしてくれたり。 さらにツイッターで呼びかけてみたら、道内だけでなく全国からも支援が届くようになりました。そこで集まった生理用品を店に置くだけでなく、公共施設に無料スポットとして設置し、配布をすることにしたんです」 ――その時点では、まだ社団法人としての活動ではなかったのですね。 ささき「はい。完全なボランティアでした。でも、やっぱりこうした活動はボランティアだけでは限界があるので、フラウドファンディングをして『JOY』を立ち上げました。去年の9月のことです」 ――3月の発想から約半年の間に、猛スピードですね! ささき「私はやりたいと思うことに真っすぐになりすぎるところがあるんです(笑)。でも、同時にサポートメンバーとの団結力が最初からしっかり固まっていたことが進みを早めた要因ではあると思います」

自分も「生理の貧困」の当事者だったと気づいた

――活動をし始めてから気付いたことはありますか? ささき「これは自分自身のことなのですが……。何よりもまず『あれ? 私こそ生理の貧困の当事者だったんじゃない?』と。私は親から自分用の生理用品を買ってもらったことはないんですよ。これは虐待とかではなく『親と子どもが同じものを使えばいい』という発想。 私は中学一年で初潮を迎えましたが、中学の3年間は親と一緒の生理用品しか与えられなかったので『これは私に合ってないな』と不便さを感じながら使っていたことを、活動し始めて思い出したんです」 下着――生理用品自体は“物”としてはあるけれど、それが自分に適したものではなかった。これも「生理の貧困」の一種なわけですね。 ささき「思えば、私はブラジャーも買ってもらえなかったんですよね。肌着は買ってもブラはいらないという考えだったみたいで。これは田舎あるあるなのか、今70代くらいの世代はみんなそうだったのか……。私の周りに聞いてみたら、同世代にそういう子がけっこう多かったんです」 ――私の親もその世代ですが、確かに生理用品を親と共有していたというのは覚えがあります。 ささき「20年以上も前のことだったのですっかり忘れていましたが、当時はけっこう辛いことだったんですよね。なので、もし今の子どもたちもそうなんだとしたら『助けなきゃ!』という思いが改めて芽生えました」
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「子ども達がだらしなくなる」という声も
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