伊藤健太郎が“ダメ人間”役で再スタート。2年ぶりの主演映画でみせる俳優としての力とは
根掘り葉掘り聞いた上での伊藤の印象
阪本順治監督は、伊藤健太郎の生い立ち、家族との関係、仕事観、どういう友人と付き合ってきたのか、事故についてネットで言われてきたことの真偽や、怪我をさせた方と今どう繋がっているかなど、マネージャーも入れずに2人きりで、2時間ほど根掘り葉掘り聞いたという。
阪本監督はその時の伊藤に、「にぎやかで屈託のない若者」「独特の人懐っこさがある」と同時に、「表面は社交的に振る舞っていても、どこか寂しさも感じる」「実は本人も気付かないネジレを抱えている」という印象を持ったそうだ。その上で伊藤は「自分はもう、失うものはなにもない」という強い気持ちで、監督の思いに応えようとしたという。
その阪本監督の印象と、伊藤自身の気持ちは、実際の映画に大いに生かされたのではないか。劇中の彼は不良グループと打ち解けたり、専門学校にも友人がいたり、女性とすぐに性的な関係を持って援助をしてもらったりもするが、それぞれから“薄っぺらさ”が見抜かれてしまっているようだった。表向きには社交性があるものの、実際にはやっぱりダメ人間であり、その様は情けないと同時に、どこか“普通”になれない寂しい人間にも見えた。それを、伊藤は完璧なまでに体現していたのだから。
現実の過ちを明らかに連想させるエピソードも
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF











