――Yさんが娘のAちゃんへの嫌悪感を払拭するためには、何が必要だったのでしょうか?
加藤かとさん(以下、加藤):Yさんは保健師さんからのアドバイスに従って、毎日抱きしめ、寝る前には必ず「好きだよ」と伝えるようにしていました。Yさんはその頃、本心ではAちゃんのことを好きだと思えなくなってしまっていたのですが「自分を変えたくて、最初のうちは好きだと嘘をついていた」と言っていました。
――嫌悪感が残っている状態で毎日抱きしめるのは大変だったかもしれないですね。
加藤:最初は本当につらくて、Aちゃんを抱きしめるたびに吐き気がしていたそうです。でも抱っこをして子ども特有の髪の柔らかさに触れたりするうちに「この子はまだ子どもなんだ」と改めて気づくようになっていきました。そして続けるうちに、まだAちゃんが赤ちゃんの時に、抱っこしてあげていた感覚が戻ってくるようになりました。
これはあくまで1人のケース。悩んでいる人は専門家に相談を
――現在、Yさんの親子関係は良好なのでしょうか?
加藤:今は「気持ち悪い」という気持ちはなくなって、Aちゃんが「抱っこして」と言ったら喜んでするし、YさんがAちゃんに愛情を感じたり、疲れた時に「抱っこさせて」と言う時もあるそうです。
――スキンシップを取り続けたことで愛情が戻っていったんですね。
加藤:ただ、これはあくまでも「Yさんのケース」であって、すべての人が同じことをするべきだと言いたいのではないんです。この漫画を読んだことで、かえってつらいのに頑張ってしまうお母さんが増えないといいなと思います。
Yさんは「嫌悪感があるのに抱っこし続けていた時期は、精神的なダメージが大きかった」と言っていました。Yさんの場合はそのままなんとか続けたことでいい変化がありましたけど、つらい人は心療内科やカウンセリングなど、専門家に診てもらうことも大切だと思います。今はつらくても人それぞれに合う解決方法がきっと見つかるはずだと思います。