そんな明美さんに声をかけたのは、ひとりの男性従業員。
「あんな言い方をするなんて、ひどいですよね」

シンクで洗い物をしていた明美さんは、突然の言葉にびっくりして「思わずスポンジを落としちゃった」そうです。
その男性は、今年の春に途中入社で入ってきたことは知っていたけど、これまであまり会話をしたことがなかったため明美さんは余計に驚きました。
「奥さんに向かってあんな言い方はないなと思います」
「えーと……」
何について言っているのかわからなかった明美さんは困惑しますが、「さっきの、社長ですけど。お言葉に甘えてついてきた俺が言うのもなんですけど、奥さんに向かってあんな言い方はないなと思います」
そうきっぱりと口にする男性の姿に、明美さんは強烈な新鮮さを覚えました。
「
初めてだったんです、会社のなかで私の味方をしてくれる人。みんな腫れ物を扱うような目で私を見るし、家に来たときも挨拶くらいでろくに話もしないから、そういうものだと思っていました。でも、彼からそう言われて、“ああ、この人は私の味方なんだ”って思ってしまって……」
明美さんは洗い物の手を止め、思わず「ありがとう」と返していたそうです。
それが、いずれ不倫相手となる彼との最初の場面でした。
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