しばらくしてインターホンが鳴りました。時刻はまだ早く、紘子さんは彼の仕事が早く終わったのかなと思いながら玄関に向かったそうです。

室内の照明を消したまま勢いよくドアを開け「わぁー!」と叫んだ紘子さん。
すると「ギャーー!」という悲鳴にも似た女性の声とともに「ドスン」と鈍い音がしました。
驚いた紘子さんが髪をかき上げると、なんと目の前には腰を抜かして、玄関前にしゃがみこんだ母親の姿があったそうです。
「え! お母さん?」と抱きかかえようとするも「
腰が痛くて立てないわ」と囁くような小さな声が返ってきたそう。
なんとかリビングまで母親を運び込み、彼の帰宅を待った二人。紘子さんは救急車を呼ぼうとしましたが、母親は世間体を考え大げさにはしないよう断ったそうです。口数も少なくなるほどに痛がる母親の腰をさすり続ける紘子さんでした。